No.209(2008年11月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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発行日/毎月1日発行

9月例会報告 気仙沼本吉支部

「日常生活に映画のような感動を!!」
〜港町気仙沼から船出 『アンカーコーヒー』 物語〜


(株)オノデラコーポレーション 専務 小野寺靖忠氏

 小野寺専務は現在33歳。海外での留学・就職を経て27歳で帰郷。入社後、気仙沼とアメリカを仕事で行き来するなかで「シアトルスタイルのコーヒーショップ」を地元気仙沼に創ることを決意し、05年に「アンカーコーヒー」第1号店をオープン。現在は気仙沼3店舗(自家焙煎工房含む)、大崎1店舗、登米1店舗の計5店舗を展開しています。
 当日は、参加した全ての方々が大いに感動・感銘した例会でした。以下、抜粋して報告骨子を掲載します。

なぜ 『アンカーコーヒー』 を始めたか?

 03年からアメリカ北西部でイワシの買い付けを始めると同時に、シアトルを中心にしたコーヒーショップの研究を始めました。シアトルは大手 S の力が強く、他の中小規模の店は苦戦していましたが、その中でもコアなファンを掴んでいたのが道沿いにつくられた「ドライブスルー型」のコーヒーショップです。アメリカでは90年代からコーヒーショップが急増し、私も学生時代の多くをそこで過ごしました。
 しかしながら、気仙沼に帰ってきてカフェラテを飲みたくてもお店がない。「豊かさとは 『選択肢が豊富にあること』 だなぁ」と思いました。アメリカも東北も基本的には「車社会」です。「生まれ育った気仙沼に少しでも豊かな選択肢があればいいな」と思いました。
 事業を始めるうえで「『東北』 にはどのような可能性があるのか?」を模索しました。人口は963万人の世界第85位で、下位はスウェーデンやデンマークやスイスなどです。GDP は33兆円の世界第26位で、下位はギリシャやポルトガルなどです。ということは、この「東北」で第1位になることは、こうした各国で第1位になることよりも素晴らしいことなのです。こういう視点で見れば、「東北」というマーケットはとても恵まれています。父親である社長には「戻って来い」と言われたことはありません。しかし、「幸せ」ということを考えた時に、生まれ育った気仙沼で親と一緒に暮らし、子どもを育てていくことに大きな意義を感じましたし、外国と比べてこの地域で生きていくことを卑下することは全くないと思いました。

『アンカーコーヒー』 の行動指針とこれから

 アンカーコーヒーでは「店長」を「キャプテン」、「スタッフ」を「クルー」と呼び、店舗を一つの船として捉えています。われわれが第1号店を出すことで、気仙沼で「朝6時半から淹れたてのコーヒーを飲める」という選択肢をつくっている、お客様により幸福で豊かなライフスタイルを提供しているということを感じながら取り組んでいこうと思います。また、「常に世界最高水準を目指そう」と話しています。コーヒーは嗜好品ですから「世界一」とは決められませんが、自分たちの行動については「世界最高水準」という自負が持てるように、常に環境を整えていきたいと思います。
 今後についてですが、「お客様のためのスーパーポジティブ集団の育成」をベースに、「2015年までに東北に50店舗の展開」を目指していきたいと思います。これは、「自分たちがやるべきことをきちんとやっていれば自然とそうなる」というスタンスで考えています。また、失敗しない店舗拡大を推進するために、2〜3年かけてキャプテンの方々に計数管理や人材育成について集中的に学んでもらい、社長になって巣立って行って欲しいと思っています。(「スプラウトシステム」)
 私の夢は「この 『アンカーコーヒー』 に関わる全ての人たちが満足と喜びと幸せを感じてくれること」です。今後を考える時に一番重要なのは「品質の伴わない成長は選ばない」ということです。「品質」には、「人や店や商品」といったものの「品質」があります。「成長」よりも「品質」を選ぶことで結果的に成長できると思っています。

(株)オノデラコーポレーション コーヒー事業部
〈URL〉www. anchor2fullsail.co.jp

今月の内容

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