パッシブハウスを視察して
(株)トータルホームプラン
社長 伊辺 秀吉
(株)トータルホームプランのコンセプトは光熱費を限りなくゼロにし、地球環境にやさしく、住めば住むほど健康になる省エネ、無添加住宅です。今回のボン郊外にあるパッシブハウス視察は、私どものコンセプトを更に深める意義あるものでした。ドイツの基本的な考えは自然のエネルギーを取り入れ、又は遮断して化石燃料の消費を最小限に押さえ、快適に生活することです。そのパッシブハウスの5つの特徴を説明致します。
1. 屋根の植栽
片流れ屋根に土を敷きこみ、芝生を植えて、夏は草の葉による蒸散作用で屋根の熱を奪い取り、屋根の温度を下げ、居室に熱を伝えないようにしている。外は30℃とじりじり暑い日でしたが、家の中は1、2階ともからっとしてひんやり爽やかでした。又、屋根の敷きこみ土は断熱材としても有効で、冬も快適に生活できることが想像できます。
2. 木製ルーバーと内倒し樹脂サッシ
窓の外に日本の雨戸のようなルーバーが設置されていて、夏の強い日差しを遮り、かつサッシ上端部がサッシ下を軸にして内側に傾いて開くことによって風も流れるので、雨が降っても吹き込まず、閉めれば気密も最高レベルで、熱伝導率も小さいので結露もしないとのことです。このサッシであれば冬もとても暖かく過ごすことができるでしょう。
3. 土の下 1.8 メートルの空調用埋設ダクト
年中17℃前後である土の下の地熱を利用し、地中に塩化ビニール管を埋設し、吸気ファンで外気を塩ビ配管を通して各居室に取り込み、夏は冷房、冬は暖房に活用している。吸気ファンだけの電気代は月700円前後と、とても安い暖房費ですね。
4. 第一種計画換気で冬、排気の熱を再利用
冬に換気をすると、せっかく温かくなった空気(熱)を外に出すのは勿体ないので、熱交換して熱を取ってから外に出すと熱ロスが少なくなります。小さなエネルギーで家全体を温めたり冷やしたりできるので、ドイツ人はとても合理的だと思います。
5. アルミサッシでなく樹脂サッシ
窓のサッシは日本ではまだコスト重視でアルミが多いのですが、ドイツではほとんど樹脂サッシです。アルミサッシを生産するときにボーキサイトを溶かすのに膨大な電気を消費し、二酸化炭素を排出します。断熱性能は悪く、結露もする、カビ、ダニも発生するので健康に悪いことを良く理解し、国民全体で樹脂サッシを採用していることは素晴らしいことです。ドイツ人は地球環境や健康を重視しているのでしょうね。
アウトバーンの両側には林の如く多くの風力発電を見ることができるのも全てのものが完全でありたいと思う国民性なのでしょうか。多くの国がドイツと同じような考えを持つようになったら地球はもっと長生きできるでしょうし、未来は明るいものとなるでしょう。他力本願ではなく、まず、自分から始まって自分たちの会社、地域、県、国と広がっていったらすごいですね。私も日本一、いや世界一地球環境と健康にやさしい無添加省エネ住宅を造り続けることを誓います。 |