No.210(2008年12月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
●よい経営者になろう。
●よい経営環境をつくろう。
発行日/毎月1日発行

 

2008 経営研究集会をふりかえって


2008 経営研究集会 実行委員長
(株)真壁技研 代表取締役 真壁 英一氏

 11月3日にパレス平安にて開催されました 2008年経営研究集会は最大収容人数550名までエントリーいただきました。集会直前には来賓の人数を制限せざるを得ない状況まで参加者が増大し、懇親会もパレス平安3階会場では過去最高の350名の方々にお集まりいただきました。多くの方々のご支援と協力を得まして2008年経営研究集会が無事終了できました事に、会員の皆様はじめ役員の方々、事務局、そして実行委員の方々に厚く深く御礼申し上げます。
 このように、多くの方々にご賛同を得、ご参加いただきました背景には、今日の経済不況に悩み、戸惑う経営者の方々の不安にお応えできる6つの分科会・テーマを設定し「今こそ自社の課題を明確化し、自らそのテーマに沿った分科会を選択しよう」とした事が、今年の成功の大きな要因としてあげられるかと思います。どんな時代にあっても継続・発展し続ける事が経営者の使命であるならば、経営の基本である経営理念、方針、計画を策定し、幹部社員や社員とともにビジョン実現に向って邁進することを基本とする事。
 また、今後の中小企業のあり方や求人、社員共育を通して地域を活性化させる中核的存在である中小企業の位置づけの再認識、さらにそれらを未来永劫100年先まで継続させていく事業後継へのロマンなど、外部環境が如何に困難であっても羅針盤を見失うことなく頑張り抜く経営者の方々に少しでも勇気と希望を分ち合えることができたのであれば幸いです。
 しかしながら、世界規模の金融不安など今日的外部環境の激変は我々の経営資源を圧迫し、疲弊させ、存在を脅かし続けております。これらの金融危機に対しても3つの緊急要望が集会を機に決議され、新聞、テレビ放映されました事も大きな成果であると同時に、内外に広く宮城同友の実力を示した集会であったと思います。
 すなわち、2008年経営研究集会は同友会の「自主・民主・連帯」の精神に立って、自らの足で大地を踏みしめ、自らの存在を仲間と共に確認し、仲間と共に行くべき方向を内外に広く広め、企業家として豊かな未来を目指して行動し始める第一歩となったことを切に希望いたします。

◆ 2008 経営研究集会参加者からの感想より ◆

第1分科会

「笑顔がたくさんあった第1分科会」

(有)平地商会 平地 健氏


 研究集会までのこの半年間、何度と無く報告者の玄地専務と座長の小島社長、実行委員責任者の今野社長と私で打ち合わせを行いました。皆の思いは「参加していただいた方に、何らかの思い感じておみやげを持って帰っていただきたい。」その気持ちで毎回熱のこもった話し合いが行われました。
 そして当日、80名以上の席が時間がたつにつれて次第に埋まり定刻へ、私自身は大変緊張していましたが、参加されている方々は、自己紹介、感想など時間がたつにつれてすっかり討論へ熱心に参加されていました。
 玄地専務の報告が終わり、いざグループ討論へ。「この時代だからこそ」と外部環境、内部環境、様々な経営者としての悩みや日々感じていることなどが、グループ長のリードによって、どのテーブルも活発な討論が行われていました。       
 討論では、「なぜこの分科会に参加されましたか?」「事業の定義は?」「あなたにとっての第二創業は?」「何のために経営されていますか?」などと様々な言葉が飛び交っていました。討論、報告、質問が終わり、ふと皆様の顔を見ると、始まる時の顔とは違い、笑顔がたくさんあったと私は感じました。
 「この時代だからこそ」社員と共に創り上げる経営指針書と第二創業が必要不可欠だと改めて再認識させていただきました。この書面をお借りして、第1分科会に参加された方々に改めて「ありがとうございました!」

第2分科会

「人が育つ会社をめざして一つずつ実践する」

(有)森久設備 専務取締役 森 俊久氏(岩沼亘理地区)


 経営研究集会は昨年に引き続き2回目の参加です。今回は実行委員とまた分科会の室長を拝命し、当日に参加するだけだった前回とは違って運営にも携わらせていただき、私自身、昨年以上に大変勉強になった集会となりました。
 第2分科会の事前打合せ会において、報告者である(株)オプス・菅原社長との数回にわたるミニ報告会では、テーマである【人を育てる】には、まず【任せる】ということが重要であり、経営者(または幹部社員)が思うような結果が出なくても、社員自身が「自分で決定し実行した」という主体者意識を持つことが大切なことに気づかせていただきました。座長の澤田修次氏((有)ほのぼの介護 社長)やグループ長の方々と何度もグループ討論を開催し、第2分科会を選んで参加してくださる会員さんや会員企業の幹部社員の方々に、報告やグループ討論の中からどんなことを学んでもらえるかを真剣に話し合い、報告会の内容や討論テーマを決定し、当日を迎えました。
 集会当日のグループ討論の様子や各グループの発表者の発言内容から、参加した方々が何かしらの気づきをお土産に持ち帰ってくれたんだということを確信しました。例えば、
「社員は育てるのではなく育つものであり、経営者はそのためのしくみ・組織環境・企業風土づくりが仕事である」「社員が育ちたいと思うような誇りのもてる会社づくりをめざしたい」「今の時勢がら、社員が育つのを待っているのは大変だが、会社の将来のためには必要なことだと再認識した」など、さまざまな意見を聞くことが出来ました。
 報告の中で「経営者と社員の信頼関係づくりは、一番に社員同士の信頼関係がいかに出来ているかである」という菅原社長の言葉は私自身の胸に深く刻まれました。経営研究集会を通じて学んだことを一つずつ自分の会社で実践することが重要であり、人が育つ会社をめざして同友会活動に邁進していきたいと思います。

第3分科会

「なぜコミュニケーションは必要か?」

農事組合法人 水鳥 専務理事 山川博久氏(幹部社員 栗原登米地区)


 それぞれの会社でそれぞれの幹部社員が、コミュニケーションの取り方は難しいと感じていることが分かりました。私もその一人です。社内に起きている問題が何かが分からないと解決しません。人も会社もさらけ出すことから始まるのではないかと思いますし、そこから方向性を見出せるのではないかと思います。
 部下に対して私たちはどんな評価をしているでしょうか。仕事の結果だけでなくプロセスも大切にして、正当な評価をしてあげることが大切だと思います。みんな一人ひとり違うので、その人にあった接し方と評価をすることが、幹部の仕事ではないでしょうか。
 そのためには幹部のあり方として、責任の自覚を自ら持って目標をやり遂げる覚悟を持ち、社員一人ひとりが目標を持って自分の目標を達成できる支援をしていき、それを会社全体につなげていく。その実践の積み重ねが、「職場は仕事を通して人間性を磨く場」になっていくという、そんな環境をつくっていきたいと思います。私自身が仕事を楽しむ、幹部という役割を楽しむ、いきいきと人生を楽しむ。幹部として魅力ある自分をつくること、会社に行きたくなるような職場をつくることが、今の、そして永遠の課題です。

第4分科会

「2008経営研究集会に参加して企業と学校の理解深まる」

東北学院大学 就職部 就職課 課長 桔梗元子氏


 宮城県中小企業家同友会主催の研究集会に参加しました。テーマごとに6つの分科会があり、私は第4分科会に参加し「採用と共育こそが成長の源泉」(株)テクシード社長奥河内博夫氏(広島同友会)の報告を伺いました。報告後に8つのグループに分かれテーマをベースにグループ討議を行いました。奥河内氏の報告で「企業と社員が共に成長する」「社員一人一人を尊重する。経営者は会社の私物化をしない」「社風で人を育てる」「かけがえのない人生を預かった人を企業が育てる」という言葉に感銘を受けました。また、私は3グループの発表者を仰せつかり、(有)北の一チェーン代表取締役小関省吾氏グループ長の取りまとめの元、次のような内容、@採用に関しては、どちらかというと欠員の補充になっているので中途採用が多い。A新卒者の採用は幹部候補としての人材か、人事構成のバラつきがないような配慮で考えている。B大学側からは、現代学生気質の現状把握を紹介し、入社後のフォローの大切さなどが理解された。C人づくりの大切さが共有しあえた。D企業においても新卒者が入社することで先輩のモチベーションアップにつながる。E家庭での会話、挨拶の大切さを認識した等を発表させていただきました。
 今回の企画を通して、参加者双方の理解が深まりましたことが、これからの大学における就職支援に活かせるよう努力したいと思いました。また、企業の方にも若者の迷いや繊細な心を少しでもご理解いただけましたことに感謝申し上げ、採用に活かされますことを託して、今後ますます県内の企業が元気で発展的になられますことを願っております。

第5分科会

「わが社の進むべき方向性が見えた!」

(株)湯浅商店 社長 松永政治氏


 竹内会長のお話で印象に残ったのが「競争的共存」関係という言葉でした。これは、卸売と小売が協力して地域に住む人々にどれだけ喜んでいただける商品を提供することが出来るかというものでした。
 そのために卸売、小売が取引ではなく「取り組み」という形で共通の目的を共有し進んでいく大切さ、社員が競争的共存の理解を深める事で小売店、地域も共に育っていくということを勉強させていただきました。
 また地域の人々との関わりの中から生まれる信頼。その信頼関係を通して安全・安心な地域が作られていく。ここが大企業とは違う中小企業の存在意義というものではないかと思います。そしてこのすべてを生み出すのは人です。竹内会長は、中小企業は「人間力」とおっしゃいました。社員一人一人の成長こそが会社の成長、そして地域の活性化につながっていくのではないでしょうか。
 当社も卸売という立場で進むべき方向性が見えた気がします。

第6分科会

「自分を見つめなおしてみよう」

(株)一ノ蔵 執行役員 浅見周平氏


 「理念だけでは人は動かない。社員とともに汗を流し、時に笑い、時に泣くことで、初めて人は動く」。思いがけず、心が揺さぶられる一言でした。経営理念があることをいいことに、私はそれを社員へと押し付けてしまってはいないだろうか。社員一人ひとりが今の経営理念に共感し、自らの働く意欲に結びついているのだろうか。私は経営理念の上にあぐらをかくことなく、あるべき姿を具体的に描けているだろうか。社員それぞれが持っている価値観や危機感、問題意識に違いがあるのは当たり前。それでもどこかに共感できる部分を見出せるはずだ。少なくとも私自身が抱く想いを社員へ投げかけ、描いたあるべき姿へ向けて一緒に歩みを進めていかなければ、経営理念も絵に描いた餅だ。先ずは河野専務の自らの鎧を脱ぎ、素っ裸で社員と対等に向き合う姿勢に学び、そして、社員と一緒に働けているかを見直してみよう。

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