●【第2講】「自分の“役割”を力強く推進する人づくり」
@自分の“役割”は何なのか? 部署を超えて団結し、支えあう社風はどうしたらつくられるのか?
「部署を超えて団結し、支えあう社風をどうつくるか?」というテーマは、どの会社でも大切な課題だったようです。さて、自分の役職としての責任や役割はどこまでなのでしょうか。役割の境目はどこまでなのでしょうか。例えば【営業】と【製造】と【総務】、それぞれの役割はどこまでなのでしょうか。
下の図をご覧ください。一つの仕事に取り組むとき、部署(役割)同士が交わりあう部分が必ずあり、役割はここまでだと画然とあるものでないことが分かります。
この交わり部分を大切にして関わり合う会社こそが、役割を果たしていると言えるのではないでしょうか。言い換えれば、この交わり部分にこそ真の「仕事」があり、役割を超えて仕事をして交わり部分を大きくすることで本当の役割が果たせるということではないでしょうか。
A社長や上司の、部下へのどんな対応が是か非かということについて
今回の幹部社員の報告((株)サイコー・谷津武弘氏)で注目して見ていただきたいのは、会社の草創期から現在までの、信頼関係がつくられる一連の流れと変化です。斎藤社長の大きな愛情を身にしみて感じ、その恩に報いようとする谷津氏の素朴で素直な感謝の念は、23年の歳月をかけて、社会的な使命を共有し、強い信頼と尊敬で成り立つ信頼関係に発展していきました。そのプロセスの中で谷津氏が「斉藤社長と同じ認識と覚悟を持ったもう一人の経営者」に変化し、今度はそのプロセスを部下に還流し共有しようとしていることをよく見ていただきたいのです。
同時に、信頼関係のありようが変わっても、変わらずにある人間としての愛情や誠実さがベースにあるのも、大切な点かと思われます。
谷津部長の報告に触れて、「こういう幹部社員がほしい」「こういう上司がほしい」という意見が出されたのは、率直な声だと思います。表面に現れた行為や現象の是非を問うよりも大切なのは、その本質に働きかけたり反応したりすることではないでしょうか。 |