No.212(2009年3月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
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発行日/毎月1日発行

仙台支部金融問題特別例会

「地域と企業を元気にする地域金融機関の役割」
〜貸し渋り・貸しはがしはなぜ起こるのか?〜


報告者:仙北信用組合 理事長 若林洋一氏

 宮城同友会が2008経営研究集会で決議した「金融危機に対する緊急要望」へ多くの支持が集まる中、去る2月10日(火)に仙北信用組合・若林洋一理事長を講師に迎え「今回の金融問題を始めとする一連の問題は何なのか?」「なぜ金融機関はお金を貸せないのか?」「そして、企業が今後やるべきこと」などについて報告をいただきました。地元金融機関のトップによる、一般の視点から見る角度とは違った講演内容に、参加した50名以上の経営者は、真剣なまなざしで聴き入っていました。当日の報告を抜粋してお伝えします。
 「経済はお金が流れなければモノは動かない。モノが動いてこそ、はじめて人が動いていく。これが、生産・消費・流通の骨格になっています。」リーマン・ショックに端を発し、世界中を混迷へと落とし込んだ金融危機問題。今回の経済危機は「お金の流れが止まった」のです。あらゆる金融機関がこぞって株に手を出し、自己資本を悪化させ企業への貸出ができない状態になりました。企業も資金繰りが悪化し社員を解雇しました。そして、個人消費が悪化します。そして、さらに企業は売り上げが激減。金融機関による債務者区分が悪化し、銀行はお金を貸さなくなり、企業は倒産します。そしてさらなる株価の暴落により、銀行は不良債権が増加、今度は貸出ができない状態になってしまいました。そしてまた新たな企業が倒産し、失業者で溢れ、大恐慌のような状況に陥り、個人消費が底をつく・・・と先の見えない負のサイクルに入ってしまったのです。銀行は自分で自分の首を締めてしまったのです。
 このような状況下、今我々がやらなければならないことは何のか?金融機関自体も上記でふれたように厳しい状況に置かれています。しかし2008年11月7日に改正された「金融検査マニュアル」の中に、「融資条件(貸出条件)の緩和を行っても、実現性の高い抜本的な経営再建計画があれば、貸出条件緩和債権には該当しない」と記載されています。ポイントは「実現可能で抜本的な経営改善計画(実抜計画)」をつくるということ。つまり、それがあると極端にいえば不良債権にならないのです。その効果は、「過去に貸出条件を変更し、「不良債権」とされていた貸出先が「要注意先」となるため、新たな融資がしやすくなる。」「貸出条件の変更をしても、「不良債権」とならないために、変更しやすくなる。」つまり、金融機関にも、企業にとっても現状を優位に進めることができる内容となったのです。
 最後に理事長は「お金を借りるということは“時間”を借りることです。“時間”を借りている間に経営体質を強化する。これが今まさに中小企業に必要とされ、実践しなければならないことなのです。」と経営指針の策定とその実践の重要性を強調していました。
 日本の企業もアメリカ並みに株主優先となってきています。経営者が短期的な利益ばかりを優先した結果が顕著に現れてきています。しかし本当にそれで良いのでしょうか?このような時代だからこそ、労使が団結し全社一丸体制で立ち向かわなければならないのです。今の危機をチャンスと捉え、新しい密度の濃い人間関係を創ることが求められています。

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