プロダクトアウト経営からの脱却
本来、 メーカーというのは問屋や商社を経由して小売店やお客様に接するのが基本です。 当社も 50年前のスタート時は製造オンリーの会社でしたが、 現在はメーカーベンダーという形になりました。 日本のものづくりをしている会社の基本はプロダクトアウトの経営です。 その会社にしかない独自の技術・設備・材料などがあり、 それらを活かした中で、 いかに競合するメーカーや商品より品質が優れているものを安く作るかというのが、 ものづくりの基本だと思います。
わが社も1966年に、 海に浮かんでいる産業用のブイを開発してメーカーになりました。 同業者よりも良い商品を安く作り販路を拡大する際、 数量というのは原価を安くする一番の秘訣です。 水産である程度の売上げを上げ、 その後農業の分野に目をむけ育苗箱や農業資材の商品づくりを行い、 品揃えの拡大を図りました。 シェアが拡大するとブランド価値がアップします。 プラスチック製品の特許もいろいろと取得し、 品質の向上にも努めてきました。 2、 3年前に買っていただいたお客様が、 また当社の商品を買われるという繰り返しが一番効率が良く、 プロダクトアウトの経営でどんどん会社を大きくすることができました。
しかし、 プラスチックの原料は全て油からできています。 オイルショックのときに十数年間培ってきた会社の財力が、 2年という短い期間で底をついてしまう経験をしました。 製造業はもろに好不況の波をかぶってしまいます。 しかし、 景気が悪くても売り手市場の業種、 メーカーはあまり景気に左右されないというのが現実であり、 オイルショックを通じてそのことを学びました。 わが社の工場には金型がたくさんあります。 プラスチック成型業は全国にもたくさんありますが、 当社は成型業ではなく金型投資業という形でオンリーワン・優位性を取ろうと考えたわけです。
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