No.202(2008年5月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
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●よい経営環境をつくろう。
発行日/毎月1日発行

新入社員意識調査

今年の新入社員は何を考えているか?

  今春に開催した合同入社式の参加者 (30社82名) を対象に実施したアンケート調査結果 (無記名方式, 調査対象80名) をまとめ、 社員共育委員会で若者の意識を分析しました (複数回答あり)。

【質問項目】  
Q1.今の会社を選んだ理由は何ですか? Q2.今の会社に勤めるにあたり、確かめたものはなんですか?
Q3.今の会社には、いつまで勤めたいですか? Q4.仕事と余暇とどちらを重視しますか?
Q5.あなたが働く目的は何ですか?  Q6.あなたはどんな会社を望みますか?
Q7.あなたはどんな上司を望みますか?  

一、 売り手市場の中で 「自分の個性を生かせ、 将来性のある地元の会社」 を選ぶ

Q1 「会社を選ぶ理由」 をみると、 第 1 位は 「自分の個性や能力を生かせる」、 第 2 位が 「会社に将来性がある」、 第 3 位が 「自宅から通える」 となっています。
   「自宅から通える」 (6.9%増)、 「知人や先輩が勤めている」 (1.8%増)、 「人に勧められた」 (2.4%増) の3項目の割合が増えていることは地元志向を裏付けているとも言えます。 「他の会社や公務員試験に失敗した」 は1.5%減となっており (この項目については過去最高の割合を示した2006 年に比べると13.2%減)、 昨年の大手企業や公務員の求人拡大が背景にあると思われますが、 もう一方、 地元志向で会社を選ぶ傾向があるのもこのポイントから見られます。
Q2 「勤めるにあたり、 特に確かめたもの」 をみると、 第 1 位は 「仕事の内容」 となっています。 第2位の 「給料、 ボーナス、 昇給」 が11.5%増、 第3位の 「勤務時間、 休日」 が7.1減%となっており、 時間的なゆとりよりも経済的安定が優先される傾向があるようです。 また、 「会社の業績」 が2.8%増であることと 「その他」 (1.3%増) に経営理念をあげた人がおり、 興味深いポイントです。

二、 仕事を充実させて 「個人生活の充実」 と 「仕事を通して成長する自分」 をかなえる

Q3 「いつまで勤めたいか」 を見てみると、 「定年まで働く」 が昨年と比べ11.2%増えていることから、 現在入社した会社で人生の大半を過ごそうとの考えが強まっているようです。 安定を求めているのはほぼ間違いないようですが、 独立思考が弱まり、 チャレンジすることに臆病になっているとも見えます。
Q5 「働く目的は何か」 第1〜3位の 「創造的に仕事をして、 自分の人間的成長をはかるため」 (61.3%)、 「お金を得て、 幸せな家庭を築くため」 (23.6%)、 「お金を得て、 趣味やレジャーを楽しむため」 (18.6%) を見てみると、 「個人生活の充実」 も 「仕事を通して成長する自分」 もかなえたいようです。 仕事を通して、 社員の人間的成長と経済的安定を保障する会社づくりが求められています。

三、 「社内の人間関係が良く、 自分の成長が確認できる会社」 を望む

Q6 「どんな会社を望むか」 をみると、 「社内が明るく人間関係のよい会社」 は昨年に比べ7.0%減っているものの最も多く、 次いで 「生きがいのある会社」 1.5%増となっています。 「生きがいのある会社」 を望む傾向は年々増えており、 Q1 「会社を選んだ理由」 に対する 「自分の個性や能力が生かせる」、 Q5 「働く目的」 に対する 「自分の人間的成長をはかる」 と併せてみると、 技術・スキル面だけではなく自分の内面的な成長に目を向けているとも言えます。 「地域に貢献できる会社」 に期待を寄せているところにも注目されます。

四、 誰が私を救ってくれるのか? 「人間的に尊敬でき、 統率力のある上司」 が若者の自立を支える

Q7 「理想の上司像」 では、 「人間的に尊敬できる」 がトップであると同時に、 「実行力、 統率力」 が8.8%増えているところにも注目です。 昨年と比べて6.1%減ってはいるものの第2位の 「若い人の気持ちを理解してくれる人」 については、 「仕事について厳しく指導してくれる人」 12.2%減、 「個人の生活まで相談に乗ってくれる人」 14.0%増と併せて見たいところです。 特に 「個人の生活まで相談に乗ってくれる人」 がここまで増えたのは今年が初めてで、 自分を守ってくれる存在を求めている様子が浮かび上がります。 社内において一人ひとりにしっかり注目し、 声をかけるなどの個別的な対応をしながら、 自立を支援していく必要がありそうです。

五、 アンケート全体を通して

 仕事を単に"経済的安定を図る手段"と捉えているわけではなく、 "自分の存在感を確認できるもの"との期待、 切実な願いとして位置づけている様子がうかがえます。 表面的には消極的と言われる若者たちですが、 "内に秘めた"ものがあるのではないでしょうか。 若者の本質は、 今も昔も変わっていないように思われます。
 若者の可能性をどこまで信じて育てていくか。 会社や上司にとって都合の良い人材ではなく、 将来・未来・社会に貢献できる人材をどう育てていくか。 一社一社の社風にぜひ期待したいところです。

今月の内容

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