No.202(2008年5月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
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発行日/毎月1日発行

新入社員共育研修会 先輩社員の体験報告

「私の生きがい、 働きがい」


(有)ひだまり介護 二階堂真弓さん (入社3年目)

 私は2006年に(有)ひだまり介護に入社し、 今年で3年目を迎えます。 (有)ひだまり介護は、 障がいを持っている方へのホームヘルプサービス・児童デイサービス・タイムケアサービス、 ご自宅や施設にお伺いする訪問理美容サービスなどを行っている会社です。

(有)ひだまり介護との出会い

 高校時代、 私は吹奏楽部に所属し、 老人施設などで演奏会のボランティア活動をしていました。 祖父母と同居していなかったので、 その経験は新鮮なものでした。
  「早く家を出て働きたい」 と思っていましたが、 特にしたいことはありませんでした。 そんななか、 友達から 「ホームヘルパー」 について教えてもらい、 「いち早く仕事につながるだろう」 と福祉専門学校に進学して介護福祉士の資格を取りました。 真面目に勉強し、 ボランティア活動なども積極的に取り組むうちに、 「将来は福祉関係の仕事に就こう」 と思うようになりました。
  今の会社を知ったのは、 学生の時に 「登録ヘルパー」 の求人広告を見たのがきっかけです。 入社までの約2年間、 アルバイトでヘルパーの仕事を続けました。 当時、 社長や社員の方とは直接関わることがほとんどなく、 会社のイメージもよく分からないまま働いていました。
  実は、 就職活動時に老人介護施設の採用試験を受けて落ちてしまったことがあります。 「どうしようかな」 と悩んでいる時に、 タイミングよく副所長から 「就職決まった?」 と電話をいただき、 「まだです」 と答えると社長と会う機会をつくってくれました。 その後、 社長から 「今度 『児童デイサービス』 という新事業を立ち上げてみようと思うんだけど、 社員として担当しない?」 と誘っていただき、 喜んで 「やります!」 と言って入社しました。
  入社しての第一印象は 「すごく忙しそう!」 という感じでした。 当時、 社員は4名で、 それぞれがシフトで動いているので会う機会がほとんどありません。 ヘルパーの仕事と並行してパートさんの給与計算なども任せられ、 「入社1年目の私がやっていいの?私にはまだ早いんじゃないの?」 と不安に思いました。 やる気いっぱいで入ったのに 「仕事をやらされている感じ」 がして苦しくなりました。 しかし、 「任されたからには最後まできちんとやろう」 と思い、 苦労しながらもやり続け、 だんだん要領をつかみ、 スムーズに仕事を進められるようになりました。

児童デイサービス 『じゃんぷ』 の立ち上げ

 児童デイサービス 『じゃんぷ』 は入社した2006 年7月に立ち上げた(有)ひだまり介護の新事業です。 始まる前までは 「子どもたちは来てくれるのかな?」 と不安でしたが、 開設近くになると問い合わせが殺到し、 すぐに定員いっぱいになりました。 「こんなに待っていてくれている人たちがいたんだ!」 と驚きました。 立ち上げでは社員会議を何度も繰り返して方向性を考え、 引越し先探しや準備、 危険箇所のチェック、 町内への挨拶などをしました。 立ち上げ後も地域の草取りなどに積極的に参加しています。
  「じゃんぷ」 という名前は社員全員で決めました。 対象は、 障がいを持った未就学のお子さんから小学生までで、 週に1〜2回、 学校があるときは放課後に、 お休みのときは午後に集まり自由に過ごします。 車での送迎もしています。
  最初は、 学校に迎えにいくと不審に思われることもありましたが、 今では学校でも 「じゃんぷ」 のことを分かってくれています。 また、 地域の中学生が職場体験に来たり、 地域の方々も声をかけてくれたりと徐々に輪が広がってきています。
  ご利用いただくお客様には仕事をしている方も多く、 お子さん一人で留守番させられなくて困っていた方もいます。 そんなお客様の役に立てることやご家族から 「ありがとう」 「子どもが 『じゃんぷ』 に行くのを楽しみにしています」 と言ってもらえること、 何より子どもたちの笑顔を見ることが私のやりがいです。

交通事故に遭って

研修会の様子

 昨年3月30日、 仕事帰りに私は飲酒運転で信号無視をした車に巻き込まれてしまいました。 たまたま近くに歩行者の方と後方にタクシーの運転手さんがいて、 すぐに救急車を呼んだり、 ぶつかった車を追いかけてくれたりしました。 そのときお世話になった運転手さんは、 偶然にも今、 (有)ひだまり介護でヘルパー兼運転手として活躍していただいています。
  事故後の約一ヶ月間は働くことができず、 「何で私なの?」 「別に私がいなくても仕事は上手く回っているだろうな」 とあれこれ考えてしまいました。 「辞めようかな」 とも一瞬思いました。 心配していた親からも 「辞めていいんだよ」 と言われました。
  でも、 職場の仲間から 「待っているよ」 と色紙をもらったときはとても嬉しかったです。 「早く仕事がしたい。 みんなに会いたい」 と思いました。 復帰初日、 仲間から 「おかえりなさい」 と言ってもらい、 とても嬉しかったです。 この体験を境に、 仕事ができる喜びの感じ方が変わりました。

悩みや苦しみから気づいたこと

  ある時に、 社員とパートの間で衝突が起きたことがありました。 その時の私はその場をしのぐことしか考えていませんでした。 その後、 それぞれの想いを本音でぶつけ合う機会をつくりました。 そのときには 「私たちがバラバラだったら、 楽しみにしている子どもたちはどうなるのか?」 「子どもたちに楽しい時間を過ごしてほしい気持ちは社員もパートも同じではないか?」 ということに気づきました。 「社員だから」 「パートだから」 「子どもだから」 「障がいを持っているから」 と壁をつくっていた自分にも気づきました。 その後、 私は 「まわりを気にして 『社員だから』 『責任者だから』 と見栄を張り、 自分を隠してきた」 と告白しました。 そうすることで壁を取っ払おうとしたのです。
  でも、 今私はとても悩んでいます。 最近、 あるパートの方から 「二階堂さんとは一緒に働けない。 担当を代えてほしい。」 と言われました。 とてもショックでした。 上司や社長と何時間話をしてもなかなか答えが見つからず、 「分からない」 としか答えられない自分がいました。
  ただ、 一つだけ気づいたことがあります。 それは 「私一人では何もできない」 ということです。 何げなく過ごしてきてしまった日常でたくさんの方々と出会い、 支えられ、 たくさんの出来事が私を成長させてくれました。 「じゃんぷ」 のなかでも、 こだわりの強い子が初めてお菓子を食べられたり、 いつもビデオに夢中で周りなんかお構いなしと思っていた子が泣いていた友達に自分の好きなお菓子をあげたりといろんなことがあります。 こうした日常が今までは当たり前のことだと思っていました。
  今、 子どもたちや今まで支えてくれた家族や会社の仲間、 このように自分を見つめる機会をいただいたこと、 たくさんのことに 「ありがとう」 と伝えたいです。 私はまだ私らしさと言われてもさっぱり分かりません。 今まで自分を知ろうともしてきませんでした。 でも、 自分自身のよいところも悪いところももっと見つめ、 自分を大好きになりたいです。 そして、 これからも素直な気持ちで 「ありがとう」 と伝えていきたいです。

今月の内容

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