No.199(2008年2月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
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●よい経営環境をつくろう。
発行日/毎月1日発行

第3分科会 設営:太白地区・千賀ノ浦地区

時代の変化に対応した新しい仕事づくりと経営戦略

   

パネラー
イシイ(株)
社長 石井 吉雄氏

 

パネラー
(株)三森コーポレーション
社長 守屋 毅亨氏

 

コーディネーター
マルチプライ(株)
社長 五十嵐弘人氏

企業紹介

座長】本日は 「時代の変化に対応した新しい仕事づくりと経営戦略」 について、 お二方に商品開発の動機やなぜ業態転換ができたのかということを掘り下げて伺いたいと思います。
石井】染物屋がたくさんあった南染師町で印入れの染物をメインとしていた石井染工から約50年経ちます。 10年前、 働く人のユニフォームと作業服に転換し、 カタカナでイシイとしております。 あらゆる分野のユニフォームに携わり、 生産の80%以上が中国とべトナムです。 自社企画で生産販売、 商品管理をし、 白衣はレンタルユニフォームでお貸ししております。 ワークショップダブルストーンを直営し全国グループを組んで、 宮城県内は11店舗です。 資本金2,200万円、 年商33億円、 グループ全体で50億円、 従業員は150人です。 5年前にISO14001を認証取得、 私募債も7回発行しております。 社内の合言葉は快適な職場環境づくり、 顧客第一主義で、 スピードだけは付いています。
守屋】学生時代に自動車の解体屋さんで3年間アルバイトをし、 その会社に暖簾分けをして頂きこの業界に飛び込みました。 宮城野区岩切に本社があり、 昭和55年10月に3名でスタートしました。 設立から7年後に株式会社三森コーポレーション、 資本金を2,100万円で立ち上げました。 現在パートを入れて約40名、 売上は約9億円を目指し、 環境産業の一企業として地域、 全国の環境を良くしようと頑張っております。

業態転換 「どうすれば」 という問題意識

座長】石井社長が業態の転換を目指した時の社内の環境、 外部の環境についてお話下さい。
石井】現状では斜陽産業ですが、 どうすれば良くなるかと日々考えております。 必然的に、 殊に食品に関してはHACCP対応をしていない大手は何もできないという状況になっております。 当社も対応策をやっております。 工場で人の接触分解をして空気中の菌が皆無くなればいいと、 初めに出くわしたのが二酸化チタンというものです。 これを必死でやっているうちに二酸化チタンが元になる 「空気清浄機 杜の都の風」 として商品開発しました。 ユニフォームだけでなく、 仕事している所全部、 空気中も殺菌され臭いも無くなるという 「杜の都の風」 を開発したのが始まりでした。
 これを普及すべき方法で一番わかりやすくやるためにと、 ちょうどSARSの問題が騒がれた時、 空気を一回通せばSARSもパッと一回で死んでしまうものですから、 はとバスに付けました。 はとバスに付ければ全国バージョンでもっていけると思い、 はとバスの一番高いシンフォニーとかフォルテシモというバスに搭載されております。 これをどんどんPRをし始めたものが、 皆さんのお手元にお配りしたステリプロというものです。 安全とか安心ということでテストを繰りかえしました。 そして、 結果的に製水器をつくり特許まで取るようになりました。 そんな風にしていったのが開発を始めたきっかけでした。 ですから 「どうすれば、 どうすれば」 ということで考えていったのが実態で、 専門的なことがかなり出てくるだけに、 バージョンをどんどんと上げていって、 機械が安定したものができあがったのであります。

リサイクル部品の全国ネットワークを構築

座長】守屋さんの場合は仕組みと業態を変えていきました、 その時の出来事などをお話下さい。
守屋】もう転業でもしようかなと思っていた時に、 九州の大石さんという方と、 三重県の斉藤さんという方が全国ネットで200社のオンラインで部品の流通をしたいということで私を訪ねて来られたのです。
 一度大石さんの会社に行ってみようということになり別府まで行きました。 そこでカルチャーショックを受けました。 当時当社の売上は数十万円でしたが、 既に一千万円を売上げており、 これがこれからのリサイクル業界のあるべき姿なのかと、 初めて大石さんと斉藤さんを心から信じて一緒にやっていこうという気持ちになりました。 本当に紙一重で、 そこで気持ちを変えて飛び込んでいったから今があるのだと感じています。
 大石さんという方は、 言ったことはどんなことがあっても絶対実行する方です。 ですから今のスーパーラインシステムという全国ネットワークのソフトウェアができたのです。 もう一つは、 夜も寝ないで私たちに自分の思いをこんこんと伝えるわけです。 組織開拓に東北6県を回りました。 私も借金しながら自分の車を売り飛ばして一緒に組織開拓をしました。 やったことが必ず形になっていきました。 大石さんや斉藤さんの会社のノウハウ、 そしてもう既に構築していた30社のネットワークの試算表、 売上や内容的なデータ、 ノウハウを全て公開してくれるんです。 当時の合言葉が 「2千万の3百万」 でした。 2千万円を売上げると3百万円儲かるぞという目標です。 私も未熟ですから、 最初は大石さんに付いていったわけです。 大石さんの言うことを聞いてやるとだんだんそういう風になっていく。 成果に表れると、 真似をしてくれる。 相乗効果で大きくなってきました。 それが15年後には全国200社のオンラインとして実現できたのです。
 その中ですごいのがコンピューターの帳票関係です。 一つの帳票で会社の売上、 どういう仕事をしてどういう内容かが全てわかります。 当時、 数字は皆恥ずかしいですから隠していたんです。 でも不思議ですがネットワークを構築してデータを共有することによって会社も自分も勉強になるんです。 他社と比較するとここが弱いあそこが弱いとわかってくるわけです。 それによって中身を変えることができます。 仕入れの状態、 生産の仕方、 売上、 お客さんへのアプローチの仕方とかが数字上でだんだんわかるようになってきます。 後で気が付くのですが、 情報公開が自分の会社を伸ばす一つの鍵になるんだという確信が生まれました。

殺菌消臭 ノロウイルス対策に効果

座長】商品開発、 業態を変えた結果、 社会や会社に対してはたして良かったのかどうかをお話下さい。
石井】殺菌消臭は、 宮城県公衆衛生協会で菌のテストをしてもらいました。 一般的なO−157とか、 サルモネラ、 大腸菌などの菌がない、 瞬時に全部死んでしまうものですから、 大変なことだとデータを作って頂きました。 いろんなテストの段階で1件のクレームとか問題も発生しておりません。 ステリプロというのは飲み水ではありませんけれども、 飲んでも安心です。 人間の肌は弱酸性ですから肌にも優しく、 あんばいがいいわけです。 より安心安全で介護施設、 老人ホームには、 宮城県の半分以上で既に納入しております。 ホテル関係で入っているのがメトロポリタン、 全国のメルパルクです。 サンルート、 作並温泉や秋保温泉にも既に入っております。 リピートも来ております。 東京ドーム、 明治座に納まったり、 生協にも納まっています。 もっと普及するためにはと、 今度は専用の加湿器を開発しました。

ネットワークの支えは教育

守屋】組織を作ることによって自分の会社を発展させられることを痛感しています。 私たちの業種は単独で部品を販売すると、 10%〜20%ぐらいの納品率です。 ネットワークの構築によって50〜60%も納品率を上げることができました。 各会社が部品を在庫し、 それをコンピューター上で在庫ネットワークすることによって、 何百万点という在庫になるわけです。 それをお客さんにネットワーク上から供給するというような形でございます。
 ネットワークを構築する為に一番大切なのは教育です。 組織で教育に一番力を入れまして、 オーナー研修、 フロント研修、 生産研修、 営業研修、 経理研修などの部門別研修会を行っております。 一番大変なのはオーナー研修ですが、 大石さんがバックアップして、 「何のためにここに来ているのか」 「これから会社をどこまで大きくしたいと思っているのか」 「自動車リサイクルを通じて世界に貢献するとはどういうことか」 などを教育し、 完全に気持ちと頭の入れ替えをさせます。 どうしたらお客さんに喜ばれる会社づくりになるか、 その内容をしっかり頭の中に叩き込まれます。 私も20数年前に研修を受け、 本当にやってよかったと思い、 その信念を社員たちに伝えながら研修会を開いています。 その結果、 会社の中がまた元気がよくなってきます。
 今、 日本一の朝礼をしようということで朝礼をやっています。 四方300mくらいの民家に朝礼が聞こえ、 お宅の会社は元気がいいですね、 なんて言われて非常に嬉しく思っています。 だんだん信念が社員たちに伝わっていき、 周りのお客さんにもいい印象を与えてくるといった現象が起きています。

これからのビジョン

座長】最後に今のビジョン、 展望をお話して下さい。
石井】やはり世の中に認められはじめていろんな所からリピートが来ております。 例えば、 ファブリーズという消臭液。 市販されているものは非常に高いのですが、 当社で開発したものは数10分の1の価格で非常に安いんです。 この商品は環境にやさしく、 安全・安心です。 薬の臭いもアンモニアの臭いも消臭し、 ノロウイルスも瞬時に殺菌し、 パーフェクトに解決できます。 ですからすごく使用され始めました。 用途に関しても園芸、 畜産関係、 温泉、 レジオネラ菌、 プールの塩素も解決します。 アトピー、 ペットショップの臭い、 パーマ屋さんのアストリンゼン効果。 福祉施設は褥瘡のケア、 院内感染、 食中毒、 四肢消毒、 あるいは歯医者さんでもうがい、 入れ歯や虫歯の消毒にと、 医師会を中心として動きつつあります。 給食センターの殺菌消臭、 食品工場等とたくさんあります。 オフィス、 一般家庭のペットの臭い、 介護者の臭いなど、 普及したら大変な貢献だと思っております。
 また、 地方の企業の成長は、 地元の金融機関の支援もなければ育たないと思います。 いろんな形でもって一体になって、 皆さんのお知恵、 お力もお借りできればなと思っております。 今日お集まりの方々にはサンプルはご提供申し上げます。 いろんな代理店政策を今から講じようと思っております。 ポイントはここだと思います。 基本的には、 20リッターのこのダンボールに入れたケースで、 販売店の粗利が約50%くらいあります。 在庫する必要もありません。 全国展開でもって東京ビッグサイトを中心にやっていこうと思っております。
守屋】17、 18年くらい前から事業計画書を作って、 それを徹底しています。 毎年、 経営計画発表会を全社員、 そして銀行さんを呼んで行っています。 当然企業ですから良い時もあれば悪い時もあります。 それを全部さらけ出して、 こういう改善をします、 と皆さんに全社員で告知します。 社員は自分の役割、 自分はこのポジションでこうやって会社に貢献するんだと明確になるところまできています。 それが同業他社との差別化を図る一つの鍵になってきている状況でございます。
 また、 4年前に、 新しくSPN、 スーパーラインパートナーズネットワークという組織を19名で作りました。 2年前に自動車リサイクル法が施行されましたが、 業界が編成され、 淘汰の時代に入ってきます。 新しいアライアンスを作らなければならないということで組織化しました。 4年後の今、 約240ネット構築をしました。 理念を持っていれば一気に4年間でつくり上げることができると確信しました。
 JARA (NPO 法人全日本自動車リサイクル事業連合) という組織でもう一つやろうとしているのは世界の自動車リサイクルを作っていこうということです。 07年6月に世界大会を日本で行い、 28カ国から自動車リサイクラーが参加してこれからの地球環境問題、 自動車リサイクルのそれぞれの国々のあり方について論議しました。 これからますますリサイクル、 環境問題に激しくなってくる時代です。 日夜、 日本そして世界、 企業をますます元気良くしていく大きな展望とビジョンが見えているのではないかという感じでございます。
座長】私たちの中小企業家同友会にお二方のようなすばらしい経営者がいるということは誇りでもあります。 中小企業の誇りを持ってここに参加して頂いた方々に深く感謝するとともに、 お二方に大きな拍手をもって御礼と致します。


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