No.208(2008年10月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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発行日/毎月1日発行

『ドイツ環境対策企業視察』 報告

 今、地球上を取り巻く環境問題 (地球全体の温暖化傾向、CO2の削減問題、化石燃料の枯渇等) が世界的に大きくクローズアップされております。
 先般、宮城同友会 地球環境部会は環境問題や循環型社会機構に取り組む「ドイツ国内先進企業」に学ぶことを計画し、5月12日(月)から18日(日)までの7日間、ケルン、ボン、ハンブルグ、リューベックの企業を訪問しました。参加者のレポートを連載でご紹介します。

GVG社レポート

宮本産業(株) 宮本柾史 江口昭市

会 社 名  GVG (Gewerbeabfallsortierung Und Verweryung GESELISCHFT)
所在都市  ケルン
業  務  一般廃棄物・産業廃棄物 中間処理業


会社・業務概要

  • 民間75%、州政府25%の合弁会社。
  • 業員数は約60名、内60%が外国人労働者 (トルコ、東欧、アフリカ)。
  • 棄物取り扱い量は年間で45万トン、昨年は13万トンを処理、55%をリサイクル。
  • 法律上、廃棄物の種類の定めはないとのことだが、州からの収集運搬・処分業の中間処分業許可が必要。
  • 2005年で埋立処分は基本廃止となり、法律上では、発生した廃棄物の85%をリサイクル、15%を最終処分とし、日本でいうところの特別管理廃棄物や危険物・有害物質等が最終処分処理となる。
  • 人件費は1日で約100〜150ユーロ (16000〜24000円) だが、そのうち約50%が税金。
  • 処分費は平均100ユーロ/トン

視察内容

作業の流れ
  廃棄物の処分方法としては主として機械による選別だが手選別も行う。まず民間の収集運搬業者により廃棄物が家庭ゴミ・工業ゴミが回収され、中間処分業者がそれらの再利用化を図る。ここで 1 次リサイクルできなかった廃棄物がGVGへ送られてくる。GVGに集められた廃棄物はさらにベルトコンベアのラインに通され、エア―吸い取り・手作業等による紙くず・廃プラ等の選別を行い、機械による破砕・圧縮・梱包作業を経て 2 次リサイクルする。それでも再利用化ができない残りの廃棄物は、シュレッダーなどにより粉砕し減量化し焼却処分される。焼却時の熱エネルギーはパイプランを利用し場外に隣接する自動車工場へ配給 (売却) される。焼却後の灰塵は道路工事の地盤改良材として路床に利用される。

感 想

廃棄物の処分は、機械化されているが資源化の品質は、あまり良い物でないと思われる。
@木材粉砕 (チップ) された物にプラスチック等が混入している。日本では再生合板の材料
  チップにプラスチック・紙等が混入されているチップは使用しない (品質問題があるから)。日本国内では建設リサイクル法があり、解体時に分別解体が義務づけられている為、処分業者へ搬入時には、廃プラ・廃ボード・紙くず等はすでに撤去してから搬入している。
  尚、代替燃料 (バイオマス) の材料は、紙くず等少量は可能。
A廃プラスチック類の処分ついてGVG社に搬入されている廃棄物は、同業者が処分しきれない物を選別処理しているので、とても良い仕組みである。日本では、GVG社に搬入される物は、焼却処分・埋立処分になる。その点から見ると日本はもっと再利用化すべきだと思う。
B紙くずについて、GVG社に搬入される混合廃棄物から紙くずを取り出し、再資源化している品質等に課題が残るが、とてもすばらしいと思う。日本では、選別しないでそのまま焼却処分になる。
C金属くずについては、アメリカ・ドイツなどが先駆けたシュレッダーと呼ばれる破砕機で金属とその他付着したゴミ (プラスチック類など) を分別し、金属回収および再資源化を図る。これは日本でも以前から取り組んでおり、さほどの違いはない。

 廃棄物の運搬車輌はアームロール式のけん引大型トラックが主流であった。1台の車輌で大型トラック荷台2箱分の廃棄物を運搬することは、効率が良いことだけではなく、空気中に排出されるCO2の抑制にもつながっていると捉えられる。また、空荷の大型トラックは後輪タイヤを上げ、極力前後2軸で走行し、走行時の道路面との抵抗を少なくしている。また、物流業に関わるほとんどのコンテナ車の場合は、キャビン上部と左右両側に空気抵抗を少なくする為のスポイラーの装備、コンテナボディーにはプラスチック・ビニール製のシートを採用し、車体重量の軽量化と燃費の向上化が見られた。
  一般道路、アウトバーン等の高速道路や市街地・郊外住宅地を観察すると、人工的に造作物を作る上で最低限必要なスペースだけを自然界から取り出しその開発にあて、それ以外の自然には余計な手をつけていない。山を切り取り走る日本の高速道路の両脇は必ず人工的に法面やコンクリート補強等で整備されるが、ドイツにそれは見られず、森林樹木や小麦畑が白線から数メートル離れてそのまま残っている。
  アスファルト舗装を見ても、日本との違いが見える。日本全国どこでも見られる道路修復工事だが、ドイツでは今回の研修中、一度も見られなかった。道路修復工事が少ない=無駄な資源を使わないことなのだろうか。

廃棄物の85%はリサイクルとして活用されている

宮城同友会視察団の一行

今月の内容

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