No.208(2008年10月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
〒981−3133 仙台市泉区泉中央2−11−1 リバースビル302
TEL (022)218-2571  FAX(022)218-2575
E-mail miyagi@m-doyu.gr.jp
【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
●よい経営者になろう。
●よい経営環境をつくろう。
発行日/毎月1日発行

仙台支部宮城野地区6月例会報告

 第18期「経営指針を創る会」を受講した(株)テクノカミオカ上岡社長による宮城野地区の例会報告です。「創る会」での学びを実践することにより、創業者、後継者、そして例会に参加した社員の思いが一つになったすばらしい報告になりました。

 

第18期「経営指針を創る会」に親子で参加して


(株)テクノカミオカ 代表取締役 上岡 國夫

1.航空自衛隊ジェット機整備員から民間会社へ

 私の出身地は北海道宗谷地方中頓別町です。昭和37年、ジェット機整備の道に進み、航空自衛隊・松島基地に赴任しましたが、昭和42年に自衛隊を退職して、燃料卸商の会社に就職しました。自分がこの世の中に存在したことを何かの形で残したいという思いが強く、この会社に入社しましたが、数年後には、経営状況が悪化し、昭和50年に会社が解散、退職となりました。

2.創業期

 創業31年目に知人の紹介で同友会に入会しました。2年前の例会の際に「経営指針を創る会」の受講を勧められました。
 当時、経営理念とは「俺の生き方が理念だ」程度に考えており、様々な問題を解決しながら、成長してきたという自信があった反面、他社を見て「まだまだ改善しなければならない点もある。」という自覚もありました。経営者としての成長、社員の成長、教育制度のあり方、共有できる夢など、社員と一緒に歩める会社にしたいという思いがあったのだと思います。
  会社には息子二人がおりますが、同じ会社にいても経営や人生について語り合うという機会を持てず、本音で話すことが出来ずにいましたが、社員のリーダーという自覚を持ち、親父の足りなさを感じ取ることで、なにが必要なのかを感じ取ってもらいたいという強い想いがありました。

3.中小企業家同友会に入会して

 創業31年目に知人の紹介で同友会に入会しました。2年前の例会の際に「経営指針を創る会」の受講を勧められました。
  当時、経営理念とは「俺の生き方が理念だ」程度に考えており、様々な問題を解決しながら、成長してきたという自信があった反面、他社を見て「まだまだ改善しなければならない点もある。」という自覚もありました。経営者としての成長、社員の成長、教育制度のあり方、共有できる夢など、社員と一緒に歩める会社にしたいという思いがあったのだと思います。
  会社には息子二人がおりますが、同じ会社にいても経営や人生について語り合うという機会を持てず、本音で話すことが出来ずにいましたが、社員のリーダーという自覚を持ち、親父の足りなさを感じ取ることで、なにが必要なのかを感じ取ってもらいたいという強い想いがありました。

4.「経営指針を創る会」に参加して

 「創る会」初日、「自社の経営理念があったら黒板に書き説明をするように」と言われ、助言者からの質問を受けましたが、殆ど答えることが出来ませんでした。
 「あなたの会社が仕事をすればするほど、CO2などを出し環境を悪くしているのではないか。」などと問いかけられ、分かったつもりで作った理念は散々なものでした。
 「創る会」では人の話を聞く事の大切さを教えられました。「聞く姿勢をもつ」こと、これは 「創る会」で同じグループになった仲間の存在が大きかったと思います。
  年齢もキャリアも違う異業種の経営者が一緒になり、多くの時間を共有しながら、人とのかかわりを深めていくことが出来ました。
 指針創りが進むにつれて、社内の明るさも徐々に変化し、社員からのさまざまな思いや経営に対する意見が出てきました。長男も関わりの中から、自社の出来ていること、出来ていないこと、自分の役割について感じてくれたと思います。泊りがけの補講にも二人で参加し、経営理念の成文化に向かって、20年、30年後の会社の在り方について、夜通し仲間と意見を交わしました。
  わが社は空調機器がメインの業務です。オフィス、店舗、工場等の経済活動を支え、又そこで働く人が快適に活動できるよう、機器の維持管理をしていますが、一方では使うほど CO2を排出し環境に負荷をかけています。そこで私たちに今出来ることは、日々の点検、調整をしっかりやり、運転状態を高効率に保ち、効率低下についてはお客様に的確な改善方法の提案をすみやかに行うことです。
  卒業を控えた補講での発表の時、私は会社を設立してからの事が走馬灯のように思い出され、涙が止まりませんでした。子供の前で始めて見せる涙だったと思います。
  人とのかかわりで一番大切なことは本気で相手にぶつかっていくこと、自分の考えを赤裸々に語ること。そのかかわり方を自分の姿勢の中に常に持てることが大切なのだと感じています。相手を認めあいながら本気で語り合えることが、コミュニケーションのベースになると考えています。

5.シーエッチサービスでの取り組み

 平成10年に引き継いだシーエッチサービスは、再建が難航し、当初の2年半は毎週新潟の事務所まで通い続けました。この頃の社員との面談で、「会社も買われ、人まで買われてしまった」といわれたときは大変なショックを感じましたが、どうしてもいい会社にしたい、借金を返済しようと情熱を傾け、社員との対話を続けました。
  テクノカミオカと同業種とは言いながら、客先とのつながりでも中間に業者が入るなど、地域特有のつながりがあり、現場には何度となく足を運び、遠方の現場では泊り込みながら、かかわりを深めていきました。
  また、社内の環境整備の一環で、古い建物の解体を行いましたが、この建物の中に簡単には解体はできないような、築100年を超えた母屋があり、社員達と相談の上、近隣の方々や、この家にゆかりのある親戚の方にも案内を出し、私の知人の写真家や、イタストレーターの作品を展示してもらいました。解体時には、家屋の建具や、欅の床材など、欲しい方に持ち帰ってもらいました。100年以上この地に存在した建物をこのような形で解体させてもらい、社員と共に「なにか良いことをしたな」という実感を持つことが出来たと思います。
  普段は社長がいないので、自分達でしっかりしなければならないという気持ちは、仙台の社員よりも大きいと思います。私が再建に一生懸命だったことを、社員はしっかり見ていてくれて、気持ちのどこかに届いていたのではないかと感じています。大きな返済が終わり社員に報告をしました。倒産するかもしれないと思っていた社員たちも、これで安心感をもってくれたことと思います。10年前に「人まで買われた」と言った社員も、この会社でよかったと言ってくれています。これからは理念と経営方針を基に、より社員とのかかわりを深いものにしていきたいと思います。

6.シーエッチサービスの改革・社員との取り組み 

 今年の3月からは、シーエッチサービスから改革を進めました。
 売上金額の目標や実績に加え、それぞれの点検業務、オーバーホール工事等も原価意識を持ち、地球環境を考え、わが社が今やらねばならないこと、将来必ず取り組まなければならないことをベースに、技術社員も含めた社員同士、幹部及び経営者と社員との関わりの中で、お互いを尊重しながら社内改革を進めようと、専務と2人の部長で改革の趣旨と方法について討論を重ねました。
 社員全員のアンケート調査から始まり、続いて全員と面談を行い会社への思い、進言、不満等を出してもらいました。これまで出せなかった思いや、やる気、提案が出され担当グループ制も決まり、リーダーは立候補で決定しました。この人はなれないだろうと思っていた社員も立候補してくれました。
 また、入社15年になる33歳の社員がリーダーとなった部門は、相当年上の社員が下につきましたが、この先輩社員は後輩リーダーを支援すると約束してくれました。
 リーダー会議は約2ヶ月の間に3回開催しました。会議の議事録を見せてもらい感じたことは、日増しに社員の成長が見られることです。
 私は面接やリーダー会議に出席はしていません。責任者に任せています。報告を聞いた後、話し合いをしています。現在実践している改革はこの様な討論に基づいての行動ですので、必ず実現すると確信し、なんとしても社員と共に夢を実現し幸せになってもらいたいと考えています。

7. テクノカミオカでの取り組み

 テクノカミオカでは、幹部社員に発表してから、本社、出先営業所と発表しました。
 経営理念も、最初はなかなか覚えてもらうことが出来ず、各事務所での朝礼時に唱和してもらい、段々と社員の間に浸透していると思います。今では何も見ないでも唱和できるようになりました。そして責任者と社員との面談を行い、経営理念について、まだ難しいと言う人も少しおりますが、時間をかけて共有していきたいと思っています。
 人数の多いテクノカミオカでは、改革の始まった新潟の専務の応援をもらいながら改革をはじめています。昨年の暮れに中途採用1名、今年の4月新卒の新入社員男子3名、女子1名が入社しました。入社にあたり、社員への言葉づかいや教育 (共育) の方法に大きな変化があったと思います。やはり指針創りで考えたり、学んだことに基づいた結果だったのでしょうか。地球の資源について、生命について、環境について、私達はどうすればいいのか、最近はさらに熱く話をしています。
 このような取り組みをしつづけることによって、良い会社づくり、良い経営環境創り、良い経営者になるための道だと確信しております。

上岡社長報告後、業務の都合により、この例会に参加できなかった、後継者でもある上岡康亮課長の感想が、テクノカミオカ総務部木村さんの代読により以下の通り報告されました。

 

第18期経営指針を創る会に参加して


(株)テクノカミオカ 課長 上岡 康亮

〜経営指針創る会に参加する前〜

 私は大学卒業後にメーカーの工場で2年間研修し、その後テクノカミオカ本社で仕事をする事になりました。現場の業務を経験してからフロント業務を担当する事になり現在に至ります。父親の会社に入るとか、継ぐとか、そんな事は全く考えていない学生時代でした。メーカーでの研修期間や、本社で仕事をしてからも「何か違う!」と考える自分がいつもいました。

〜経営指針を創る会に参加することになり〜

 社長から「指針創りに参加しよう」と言われ、訳もわからず「はい」と言ったのを覚えております。「経営指針を創る会 (経営理念を創る)」、言葉の意味もわからない自分がいました。社長が「同友会」に入っているのも全く知りませんでした。
  中小企業の社長同士の交流会という感じで、「ただ話を聞いていればいいや」と言う位しか考えていない状態でした。

〜経営指針を創る会に参加して〜

 参加した初日、助言者の方々は親子の距離が遠く感じられ、立っている姿も頼りなく思えたのではないでしょうか。今思えば、自信がなく、何も答えられない自分がいたのですから当然の事かもしれません。参加の回数が増えるにつれて、10年後、20年後、会社をどうしていくか?どういう経営理念を創っていくか、業務中でも時間の空いたときや、自宅に戻ってからも、少しずつでも経営指針創りについて、親子で会話が出来る様になっていたと思います。会社のこと、社員のこと、社員の家族・子供、恋人、社員の夢、社員の健康、などについても少しずつでも真剣に考えていく自分がいたのも間違いありません。

〜参加して気付いた事〜

 初日の助言者の方からの“きつい”と感じた言葉も、今思えば同友会の仲間として、「その問題を解決しよう!」「業種は違えども一緒に頑張っていこう」「お互い自分の会社を本気で良くしよう」と心の中で思いながら言ってくれた愛の「ムチ」の言葉だったのだなと、今は心から感謝しています。そして、補講の時に流した社長 (父親) の涙も、創業してからの苦労、人生観、そんな思いも全てではありませんが受け止めた自分がいたのも事実です。

〜最後に〜

 経営指針を創る会に参加して、自分の人生の変革の大きなきっかけになったのは間違いありません。今まで以上に会社の今後のことを考える様になりました。
 親子の会話、会社の話など、指針を創る会に参加する前よりも多く話すようにもなってきています。
 そして助言者の方によく言われたことは「なんのために!」という言葉です。仕事、そのほかのすべての行動について「なんのためにしているのか?」と考えるようになりました。親子の会話、社員との話し合い、嘘偽りなく、本気で腹をくくって話さないと思いは伝わらないことも良くわかりました。
 経営指針を創る会に参加した事を、これからの本当のスタートと考えて、より良い会社を創っていきたいと思います。

 

「人の話の中に・自分の中に・答えがある」〜例会に参加して〜


(株)テクノカミオカ 総務部 木村真由美

 同友会の活動目的の中に 『学ぶ企業こそ生き残る』、『中小企業と地域活性化の為に働く人材養成の場』 とあります。私は、例会に参加しグループ討論の中で、この同友会の目的を初めて知ることができました。
  グループ討論会…業種の異なった会社の方々と、また立場が全く違う方々の中でのグループ討論は初めての経験でした。以前は営業をしなくても仕事が入ってきたという経営者の方。入社時は社長の言っていることが全くわからなかったという社員の方。経営者としての不安や悩み、社員としての不安や悩み、様々なものがありました。1つ1つ、こうしたらいいのではないか? その場合・その時はこのように考えていたのではないか? 一人一人の意見や助言で、自分の中で解決していくもの、発見できるものがたくさんありました。皆さんの中でもあったのではないでしょうか? グループ討論を通して「人の話を聞くことの大切さ」すべてはそこから始まることを学びました。
  上岡社長の報告の合間に、仕事の都合で残念ながら出席することができなかった上岡課長の報告を代読させて頂きました。皆様の前での緊張と、社長 (課長の父親) に対する思いを知り、涙をこらえ言葉を詰まらせながらの代読でした。正直私は、毎日忙しく違うフロアで仕事をしている課長の、社長 (父親) への思いや社員への思い、会社への思い全てを、全然理解していませんでした。グループ討論の中でも発言しましたが、社内では上岡社長と上岡課長が親子関係であることを私は意識したことがあまりありません。
  グループでご一緒だった(有)木村建設の木村専務様は2代目で、親子3代になる会社だそうですが、「なかなか、それができないんだよ」とおっしゃっていました。
  親子経営…私には経験することのない未知の世界ですが、親子だから言えること・親子だからこそ言えないこと・そして親子だからこそ衝突してしまうこと・親子ならではの難しさがあると痛感しています。上岡課長は、父親である社長の背中を見て、社長の会社への情熱と、今までの苦労を一番理解していると思います。だからこそ、自分の中での格闘がたくさんあるのではないでしょうか?
  これからテクノカミオカは、社長と社員が共に使命感を持って取り組める会社を目指していきます。その中で、この例会に参加して学んだ事を生かし、会社の変革と共に私も成長していきたいと思います。

今月の内容

バックナンバー一覧に戻る