No.194(2007年9月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
●よい経営者になろう。
●よい経営環境をつくろう。
発行日/毎月1日発行

仙北信用組合が同友会と提携ローン

〜 栗原登米地区で元気な地域づくりに協同の取り組み 〜

経営指針の実践を評価

 栗原市、 登米市、 気仙沼市などに支店を持つ仙北信用組合 (若林洋一理事長) が、 同友会の会員向けの提携商品を発売しました。 同友会会員は0.5%、 経営指針成文化で更に0.5%の金利を優遇するというもの。 栗原登米地区の活動を通して同友会に関心を持ち、 評価している仙北信用組合は、 中小企業支援などを通して地域の経済を元気にし、 再投資して雇用や福祉に役立つことを使命としているコミュニティーバンクです。 人口減、 少子高齢化など地盤沈下がすすむ地域の状況に危機感を抱いていた若林理事長は、 中小企業を元気にすることが地域再生につながると考え、 同じ考えで学んでいる同友会に声をかけ、 動き出したものです。 この背景には栗原登米地区の方々の7年に亘る地道な地区会活動があります。

目的が一貫している栗原登米地区の活動

 同友会の栗原登米地区は2004年11月に県北支部の地区会として自立を始めました。 設立総会で平野勝洋地区会長 ((有)ひらの・社長) は、 「立教大学の山口先生から、 『アメリカの地域再投資法』 によって、 地域金融機関が集めたお金を地域の中小企業に貸付けてゴーストタウンを蘇らせた話を聞き、 『これだ』 と思いました。 2001年に同友会が 『金融アセスメント法』 に取り組んだとき、 『シャッター街を蘇らせよう』 と築館の街を署名活動しながら訴えて歩き、 千名以上の署名を集めました。 この時から栗原登米地域に同友会をつくりたい。 互いに学びあいながら自立した会社をつくり、 地域を活性化したいと考えるようになりました。」 と設立の思いを語っております。
 地区会は、 2006年6月例会には仙北信用組合の若林理事長を迎え講演を行います。 そのとき、 若林理事長は 「格差の時代において、 地域金融機関の役割は、 一つは地域から集めたお金を地域に再投資していくこと。 二つ目に地域活性化のリーダーとなって人と企業を育てていくことです」 と、 明快に同友会の 「金融アセスメント法」 とまったく同じ考え方を語っております。 更に、 「地域経済の活性化の主役は中小企業です。 中小企業と行政と地域金融機関が連携して人・モノ・金を地域に集めることが大切です。 栗原の人口は現在の8万5000人が2015年には5万人まで減ってしまうと予測されています。 そこで経営者が大切にしなければならないことは、 @人です。 お客様、 社員、 家族、 地域の人とのコミュニケーションから改革改善が生まれてきます。 A仕事、 本業です。 商品、 サービスに磨きをかけ、 付加価値と企業価値を生み出すことです。 B時間です。 社員に仕事を任せ、 経営者としての仕事を果たさなければ新しい発想は生まれません。」 と貴重な示唆を語っております。
 こうした学びあい活動から、 毎回、 「経営指針を創る会」 に受講生を送り出し、 地区運営委員会では受講後の取り組みについても話し合いを続けてきました。 (有)もちっ小屋でんの狩野千萬男社長は一迫高校のデュアルシステムに協力し、 11名の生徒と一緒に週2回、 3ヶ月かけて新しい商品を開発します。 「“ふるさと讃菓”――地域の誇りの味をつくることが経営理念だから…」 と社員が全面的に協力し、 お米を原料としたカステラを完成させ、 『宮城県ものづくり大賞グランプリ』 を獲得します。 「農家とつながり、 子ども達とつながり、 企業とつながり地域を育てたい」 と夢を拡げています。 飲食業を営む(有)ゑびすの佐藤勝郎社長は、 「脚本は経営指針、 スタッフが俳優、 社長はプロデューサー」 と 「人としての成長」 を会社づくりの柱に据えながら、 地元の農家がつくった野菜や牛肉を材料にメニューを工夫しています。 「地域を何とかしたいと思う心優しい人たちと6次産業化に取り組みたい」 と意欲的です。 (有)パレットの高橋寛社長は、 地元産の野菜で新しい洋菓子をつくるなど、 お互いに刺激しあって、 工夫が盛んです。

10年、 20年かけ、 新しい地域協同をつくろう

 各社の決算期の 「経営指針発表会」 に参加した仙北信用組合の幹部は、 「経営指針に基づいて経営している企業はブレない」 と評価しています。 平野会長は 「地区会では経営指針の実践に重点を置いており、 その中に 『社会性』 という考え方があります。 今までは自社の利益追求をしていた私達が社会と向き合った時、 人がいなくなれば商売が成り立たなくなることに気づくの です。 地域に人が集まり、 増えるように、 学んで、 交流し地域のために仕事をしよう、 と地域の経営者に呼びかけています。」
 狩野社長は栗原市長に 「『地域振興条例』 をつくり、 中小企業・自営業、 働く人々が生き生きと暮らすためにはどうしたらよいかを議論していきたいのです。 農業を中心とした街づくり、 地域づくりを展望できる場として恒常的な 『振興会議』 を立ち上げましょうと訴えているのです」 と語ります。
 若林理事長は 「仙北信用組合は 『地域の繁栄と共にある』 といっております。 今取り組んでいる仕事は10年、 20年かかるかも知れない。 地元企業を元気にするだけでなく、 地域全体を活性化させ、 過疎化に歯止めをかけようという思いで活動しているのです」 と志を語っています。 企業、 金融機関、 学校、 行政など、 心を寄せる人々が集まって動き出しています。 今回の金融商品は第一歩に過ぎません。 10年先を見据えた栗原登米地区の挑戦をみんなで育て、 自分たちの仕事に生かして参りたいものです。

今月の内容

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