No.192(2007年7月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
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発行日/毎月1日発行

活き生き企業訪問記

地産地消で栗原の良さを全国へ発信する商品と人づくり


有限会社パレット  社長 高橋 寛 氏(栗原登米地区会員)


 栗原市築館にあるパンと洋菓子のお店 「パレット」 は、 外観はお菓子の家のようなつくりで、 お店に入ると生き生きと働く社員さんが笑顔で迎えてくれます。 お店を経営するのは 「明るく」 「おもしろい」 そして 「熱い」 (有)パレット 高橋 寛社長です。

充実した気持ちで仕事がしたい!

  「充実した気持ちで仕事がしたい、 お客様の喜びの輪を広げたい」。 高橋社長が菓子屋を目指そうと決心したときの想いです。 高橋社長が、 パンと洋菓子の店で修行を積んでいたある日、 友人から店を任せたいとの話がありました。 当時、 高橋社長は 「都会で売られているパンと洋菓子が、 どうして私たちの住む田舎では売られていないのだろう?」、 「地元でも、 都会のお店に負けないようなパンと洋菓子を食べてもらいたい」 との想いを持っていました。 しかし、 長男として生まれ家業である農家を継がなければならないという事情もあり、 両親と相談した結果、 「そんなに菓子屋をやりたいんだったら、 自分でやったらや!」 とのことから、 1986年、 28歳のときに20坪の店と工場、 数名のパートさんでスタートしました。 開店当初から、 「都会のお店に負けないようなパンと洋菓子を作る」 という考えを大切にしてきました。

失敗から学んだこと

 高橋社長の転機が訪れます。 「創業から13年目を迎え、 業績も順調に伸びていた頃、 食中毒事故を起こし多くのお客様に迷惑をかけてしまいました。 原因は自分自身の慢心とおごりでした。 毎日誠心誠意お詫びを続け、 事故発生から3ヶ月ですべてのお客様への対応を終えることができました。」 その最中に、 一番被害の重かった方から激励の手紙を頂いたそうです。 『人生は長い。 晴れたり、 曇ったり、 風の日、 雨の日いろいろあります。 くじけずに頑張ってください。』 ・・・ 「この一節を机の前にかけて仕事に取り組みました。 この事故を通して多くのことを学びました。 一つは、 支えてくれる家族、 社員、 お客様がいて自分が生かされているということ。 もう一つは、 人間は失敗することは避けられないが、 失敗を乗り越えることで強くなれるということです。 (高橋社長)」

お客様の喜びのために

 お客様の喜びのために、 パレットが取り組んでいることがあります。 ひとつは大きく、 元気なあいさつです。 「これが身についたとき、 社員が人間として成長し、 会社としてもう一段成長する」 と高橋社長は語ります。 もう一つは、 【お客様の喜びの輪を広げる】という価値観を共有することです。 パレットは、 積極的に若者を採用し技術者を育てています。 ものづくりや商品づくりに対する考え方は一人ひとり違います。 若いうちからどうしたらお客様に喜んでもらえるかを考え仕事を追求したときに、 次第に価値観を一致させることができるとの想いからです。
 高橋社長は、 「この仕事のおもしろさは、 何もない状態から自分たちの手で商品をつくり、 直接お客様に食べてもらえること。」 と語ります。 しかし、 ただお菓子を作ることが好き、 という意識だけではそのおもしろさは味わえず、 「お客様に喜んでいただく」 というプロの仕事、 常に自分自身のいろいろな感性を研き、 商品は他社と比較し上を目指し、 自社の同じ商品でも毎日進化し続け提供できたときにこそ、 味わえる仕事だと語ります。

経営者の仕事

 現場を離れて約4年、 お客様の声や社員からいろいろな提案があがり、 商品開発に取り組んでいます。 その中でも、 商品化へ最終的な判断をするのは社長自身。 「今まで培ってきた自信と自分自身の感性を信じ、 社員にアドバイスをすることでより良いものをお客様に届けているのです。」 お客様に良い商品を届けるために自分がしなければならないことは、 「社員がモチベーションを高く保てる雰囲気づくり、 明るい未来を描けるように、 自分の10年後を明確にできるようにしてあげること。 そして、【お客様の喜びの輪を広げる】というパレットの価値観の中に、 社員一人ひとりがさらに夢を持って取り組めるようにするのが、 経営者としてしなければならないことだと考えております。」 と高橋社長は語ります。

オンリーワンのお店に!

みんなの思いが込められた
「パレット人気No.1のパン」

 創業から21年目を迎え、 多くの人に支持されてきました。 これからの夢は 「質において日本一、 宮城・東北・そして全国において“オンリーワン”の店を目指すこと!自社が繁栄するだけでなく、 地域の食材やお客様の声までしっかり目を向けて、 さらに歩んでいきたい。 今まで以上にパレットの商品をどこに行っても喜んでもらえるように、 社員がお客様に対して誇れる商品づくりをできるように、 パレットの包装紙を見ただけでお客様に喜んでもらえ、 期待できるブランド作りをしていきます。」 と高橋社長は語ります。
 最近では地産地消のもと、 栗原地域の優れた食材を生かし、 地元産のトマトを使ったゼリー、 牛肉を使ったカレーパン、 イチゴを使ったケーキなど栗原の良さを発信しています。 『何を食べても美味しい』 をモットーに、 キャンパスにパンや菓子という“絵”を描いているパレット。 「地域になくてはならない会社」 を目指し、 社員と共に歩んでいます。

今月の内容

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