私の人間観
私には一人娘がおりまして、 心臓病と知的障がいをもって生まれました。 娘が生まれたとき、 まわりの方々に娘の障がいのことを告げられない私がいました。 結果的には勇気を出して言ってよかった。 ごまかしていたら、 まわりの方々に顔向けができなくなるところでした。 今は理事長という立場にあっても、 私の障がい児の親としての人生は、 自分の弱さのなかで迷い、 悩んだなかで決心した、 そういうスタートだったのです。
私が娘の障がいを受け止められるようになるには、 ある程度の時間も必要でしたし、 学生のときのボランティアの経験も影響していると思います。 東京の病院で長期入院の患者さんや子どもたちの学習指導ボランティアをしておりまして (夫ともそのボランティアで知り合いました)、 筋ジストロフィー患者さんのNさんという方と出会いました。 私たち学生や若者が訪問すると、 Nさんはいつも私たちをねぎらって感謝の言葉を言ってくださる。 何かお手伝いできることは、 と思うのだけれど、 Nさんは笑顔で自分のことは自分でしようとする。 手を出すのが逆におこがましいような思いでした。 難病で回復の見込みがない、 いずれは死に至る。 余命が決まっているのに自分ができることはやろうとする。 その前向きな生き方は胸に迫るものがありました。 私が結婚をして仙台に移ったあと、 Nさんが亡くなったと聞きましたが、 Nさんの前向きに生きている姿が私の人生観の原点になっています。
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