自分が継がなければという思い
私は4代目で、 跡継ぎとして育ちました。 しかし学生の頃、 当社が保証人になっていた会社が倒産し、 大学進学を断念せざるを得ませんでした。 ある企業から内定をいただき、 父に相談すると、 「やっぱりうちの会社を手伝ってほしい」 と言われ、 大変悩みました。 当時のわが社は下請けの比率が90%近くありました。 うちに帰ると、 母に酒を飲みながら愚痴を言っている父の姿を見ていましたので、 正直そんな会社に入りたいとは思いませんでした。 私は入社の条件として、 父に 「下請けをやめてほしい」 と伝えました。 父にとっては苦渋の決断だったと思いますが、 少しずつ体質を変え、 元請けの比率を増やしていきました。
そして、 平成7年に私が社長に就任しました。 それから1、 2年は親の七光りで維持していた売り上げも、 だんだんと落ちていきました。 正直はじめはその理由すら分かりませんでした。 「景気も良く忙しいので、 人を採用してはどうか」 という私に、 大工上がりで職人気質の父は 「景気が悪くなったらどうする?事業は派手にしてはダメなのだ」 と言います。 当時の私は、 地味でもとりあえずは食っていけるだろうと甘い考えでおりました。
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