コラム

宮城同友会2006年上半期(1〜6月)景気の状況に関するアンケート結果より

東北大学大学院経済学研究科 教授 大滝 精一



  今回の景況調査では、 DI 指標の着実な改善が見られるなど、 全国的な景気回復の動きが会員企業の間にも拡大しつつあることが明らかになっている。 根強い価格低下の動きや原油をはじめとする原材料の高騰などの不安要因は依然として存在するものの、 県内の中小企業の間にも自信の回復と新しい成長の模索が始まっていると言えるかもしれない。
  また今回の調査では、 新たに 「経営者として向上させたい能力」 に関して会員に質問している。 その結果、 約3割の経営者が 「社員の育成」 をあげ、 また能力向上の方法として 「セミナー・研修会に出る」 が多く選択されていることが示されている。 皆さんは、 この結果をどのようにご覧になるだろうか?
  ある意味で経営者にとって、 社員の育成は永遠の課題であるとも言える。 したがって、 “決め手はこれだ”といった育成の妙案が見つからないのも無理からぬことであり、 多くの経営者が 「セミナー・研修会に出る」 と回答していることも、 それなりに理解できることではある。
  もっとも、 普段多くの経営者の方々と接していて感じることのひとつは、 社員に期待する人材像がはっきりと示されている中小企業が意外なほど少ないことである。 社員の育成が大切だと言いながら、 そのための目標をしっかりと持っている企業は多くないのである。 社員の育成という以上、 いったい自分の会社は社員に何を求めるのか、 その具体的な内容や姿を経営者として、 一度じっくり考えてみることが必要ではなかろうか。 もちろん育成の常として、 人材像を描けば、 それがすぐに実現されるという訳にはいかない。 しかしそれにしても、 育成すべき社員の具体的イメージを経営者がはっきりと認識することなく、 社員を育成することはできないはずである。
  社員の育成に対する経営者の目標を明確にすることが、 景気回復の足取りが明らかになりつつある今こそ求められていると言えよう。



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