No.205(2008年7月号)

どうゆう みやぎ

宮城県中小企業家同友会
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【同友会3つの目的】
●よい会社をつくろう。
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発行日/毎月1日発行

企業訪問

先進の物流アウトソーシング
〜 信頼と実績を元に一歩進んだ物流トータルソリューションを 〜


(有)関東エース 東北ブロック本部
次長 鈴木 伸二氏

 昭和59年、北海道石狩市を本部として7両・7名にて 「エース運輸株式会社」 を設立。物流のスペシャリストとして、北海道内を基点として着実に業績を伸ばし、平成4年には関東方面の物流をカバーするため、(有)関東エースが設立されました。平成12年に関東営業所、15年には仙台営業所が設立され、関東、東北、北海道の全域をカバーする体制が整い、常に戦略的な物流トータルソリューションを提案し続けている、(有)関東エース 東北ブロック本部の鈴木伸二次長からお話をお伺いしました。

人材から「人財」へ 女性ドライバーも積極採用 社員全てが営業・広報マン

 どうしてもトラックの運転手というと、いわゆる 「運ちゃん」 というイメージが付きまといますが、当社の林社長の基本的な考え方のひとつとして、少しでもそのイメージからの脱却を図り、ドライバーの社会的地位を高めたいという強い思いがあります。運輸業は日本経済、地域経済に多大な貢献をしている業態と自負していますが、反面、その悪いイメージを払拭しないことには安定した雇用も生まれません。また、ドライバーの対応ひとつで、荷主さんの運命を左右する場合もあります。
 そこで、わが社では独自のカリキュラムを作成して、○月○日〜○月○日までを社員教育の日として毎年実施しています。ここでは 「当たり前のことを当たり前にこなし」、常に 「正しい仕事」 に取り組むことが、「新たな仕事・受注」 につながり、ドライバー自らが営業マンの一人になれるようにと徹底した社員教育を行っています。
 また、運転手というとどうしても長距離、力仕事が多く、男中心の仕事と思われがちですが、当社は男女の分け隔てなく、本社の創業当時から積極的に女性ドライバーの採用を行っています。
 実際に採用してみると、女性ならではの繊細な心配り・商品に対するキメ細やかな顧客サービスが展開され、力仕事もそつなくこなすなど、男性に負けず劣らず労働意欲が非常に高いことがわかりました。
 一方、中途採用も積極的に行っています。ドライバーの年齢も23歳から57歳までと幅広く、随時、採用の門戸は開放しており、「車輌は仕事のパートナー」 という当社の基本的な考え方に基づき、本当にいい人材に来ていただいたときには、新しい車両を導入するくらいのスタンスを持って、人材の確保・育成にあたっています。
 私自身も中途での採用です。社員全員が同じスタンスで、チャンスを平等に持ち、「やれる者はどんどんやれ、そしてチャンスをものにして常に上を目指せ」 という社風が完全に浸透し、社員の活性化にも繋がっています。
 また、敷地内の貸し事務所のスペースには保育園が入居しています。東北ロジスティクスセンター開設の際、地域に何らかの貢献ができないかと考えたところ、この周辺には多くの工場が立地しており、その工場に通うパートさんからの需要が高いと考え 「保育園」 の入居を積極的に推進した結果です。自社のドライバーでも、お子様をお持ちで、仕事をなさる方が増えており、就業場所に近隣する保育園ということで、安心してご利用いただいております。

全社員が常に「経営方針書」を携帯

 毎年、その年の経営方針が策定されますが、わが社には 「経営方針書」 という手帳型式の物があり、1,050名の従業員全てが常に制服の胸ポケットに携帯しています。
  「経営方針書」 には、その年ごとの会社としての経営方針はもとより、身だしなみのチェック、言葉遣いの項目や、事故の際の対処マニュアルなど、社会人としての基本までが網羅されているのが特徴です。
 その年の経営方針については、新入社員については入社後すぐに、「経営方針書」 をもとに、場合によっては一般常識も含めて、丸一日をかけて説明。日常では毎朝朝礼での方針確認の徹底が図られているほか、社長や専務自らが、毎月一回、全営業所を回りながら、新入社員を中心に細かな確認・指導を繰り返し行っています。

総合物流企業の確立を目指して

 わが社では、時代とともに求められてきている多様なニーズに応えるため、商品の品質維持管理・保管・物流加工・配送と、いわゆる 「運輸業」 から 「総合物流企業」 への確立を目指しています。
 宮城県内においては3箇所 (富谷、大衡、岩沼) の物流センターを運営し、お客様から商品をお預かりするばかりではなく、お預かりした商品を細かくピッキングし、各店舗ごとに配送する事業を展開しています。
 この物流センターは30代の女性を中心に、それぞれ約100名の従業員を採用し、独自の運営を行っており、スーパー、コンビニ向けのドライ加工食品や乾物を中心に扱っていますが、特に岩沼のセンターでは、倉庫内全て (100%) の商品の配送を当社が請け負っています。今後、物流と連動したこのような倉庫業をさらに伸ばし、地域の女性をはじめとする雇用を積極的に行っていきたいと考えています。

環境問題への取り組み

 本社では、平成11年よりCo2 の排出量が最も少ない天然ガスを燃料とする車両の導入も始まっています。しかし車輌価格も高額で、満タンでも200キロ迄が走行距離の限度であることや、東北地方にはまだ天然ガスのガススタンドが少ないなど、まだまだ周辺環境が整っていない状況ではありますが、環境保全へ少しでも貢献ができるよう、今後も積極的にクリーンなエネルギーの活用に取り組んでいきたいと考えています。

経費増大のカバーは「売上げのアップ」で

 現在、燃料高騰の問題が盛んに取り上げられています。当社の運賃は、リッターあたりの料金が従来からほとんど変わっていません。燃料をはじめとする経費の増大は本当に頭の痛い問題です。しかし、経費削減などの対策は勿論ですが、当社の社員教育の基本である 「当たり前のことを当たり前にこなし」 「正しい仕事」 をすることこそが、お客様からの信頼を得て、売上げのアップに繋がるのではないかと考え、社員全員が日々の業務に取り組んでいます。
 今後も、お客様から絶大なる信頼を得ている、「ジャストインタイム」 サービス (商品を配送するだけではなく、必要なものの量・時間・場所などにも配慮したキメ細かなシステム) をはじめとして、物流に係わる一切の業務をトータルで行い、先進の物流トータルソリューション企業として、高品質な物流サービスを提供し続けることが当社の使命と考えています。

(株)エース(エースグループ) 創業の精神

目的:当社はお客様に最高の配送を提供し、お客様の発展のお手伝いをする為に運送事業を行う。

1.お客様に対する基本的な考え方
  お客様の大切なお荷物を、無事目的地までお届けすることを基本とし、その中に人間的なふれあいを大切にし、相互より喜ばれる企業となる。

2.社員に対する基本的な考え方
 @運送という仕事を通して人間的レベルアップを図ってもらいたい
 A一生懸命働く社員に対しては結果は問わない
 B同業他社の社員より10%以上多くの給料を払いたい
 C社員教育を徹底する

3.車輌に対する基本的な考え方
  運送業界では車輌は道具であり、それは大切なものである。なぜなら、自分の仕事のパートナーであるからである。そのパートナーである自分の乗務している車輌を大切にし、一年でも長く一緒に乗務できるようにする。
 @内・外装の整備
 A異常の早期発見・修理
 B無理な使い方はしない

4.お金に対する基本的な考え方
  会社のお金は、皆で一生懸命汗して稼いだものです。無駄をしないで生きたお金の使い方をする。

5.協力業者に対する基本的な考え方
  仕事がスムーズにでき、会社が発展することができるのは、協力業者があるからであることを忘れてはならない。感謝と信頼により成り立っているので、大切にすること。

今月の内容

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