コラム

宮城同友会2006年下半期 (7〜12月) 景気の状況に関する
アンケート結果より

東北大学大学院経済学研究科 教授 大滝精一

  今回の景況アンケート調査では、 障害者雇用について質問した。 調査結果によると、 障害者を雇用している会員企業は22.6%で、 過去に雇用していた企業をあわせるとおよそ4割にのぼっている。 興味深い点は、 雇用したことがない理由として、 障害者に適した仕事が分からない (45.2%) と接点がない (41.9%) があげられていることと、 今後機会があれば雇用してみたいと回答した会員企業がおよそ半数の49.1%を占めていることである。
  一般にわが国の企業は障害者雇用に積極的でないことが再三にわたり指摘されている。 事実、 全従業員に対する障害者法定雇用率1.8%をクリアしている宮城県内の企業は決して多くない。 だが、 この状況が今後ともずっと変わらないと言い切ることはできない。 今回の調査から分かることは、 必ずしも会員企業の障害者雇用に対する意欲が低いわけではないということ。 むしろ問題は、 障害者雇用に関するしっかりとした情報や障害者の人々との接点が欠如しているために、 障害者雇用に対し具体的に何をすべきかが分からないことにある。 周知のように、 景気の緩やかな回復とともに、 大手・中堅クラスの企業は、 「特例子会社」 (障害者雇用に特別の配慮をした子会社) 制度を利用して、 障害者雇用を積極化しつつある。 同友会としても、 障害者雇用の意義を確認しながら、 そのための情報提供や障害者との接点づくりをリードしていく方策を一考してみてはどうだろうか。

東北大学大学院経済学研究科 教授 権 奇哲

  企業は環境の中の生き物である。 環境は常に変化しており、 技術面でも市場面でも、 その変化はますます加速している。 現状維持の企業は、 もっと速い速度で、 もっと狭い生存領域に追い込まれていく。 それに対応する方法は、 経営者が常に環境の変化を捉えながら、 自社の顧客と商品と事業プロセスを再定義していくことだけである。 経営者は自分自身と社員たちの視野と考え方と能力を常に点検し、 必要な修正を行わなければならない。
  今回の調査では、 前回に引き続き、 緩やかな景気回復がみられたが、 今後の見通しについては楽観できないことが確認された。 中小企業の経営成果は経済全体の景気動向に影響されやすい。 しかし、 目指すべきは 「頑丈な企業」 である。 それは企業の運命を経済全体の景気動向にゆだねてしまう企業ではない。 むしろその対極に位置する企業である。
  企業の利益は、 顧客が自社の商品を買って満足してくれたときだけ発生する。 企業内部で何をどうしようとも、 それはコスト要因でしかない。 そのため、 企業経営の最も 「基本」 は顧客満足の実現である。 同友会が年2回行う本調査は、 地域企業の経営者たちが 「顧客満足の最大化」 という最も基本的視点に立って、 市場 (顧客)、 技術、 制度などの面で自社の経営環境を新たに把握し、 社員たちの視野と考え方と能力を定期的に再構築するための良い機会ではなかろうか。 もっと多くの地域企業が本調査に参加することが望まれる。




■第9期同友会大学 卒業生のレポートより (抜粋) 

 

■宮城同友会アンケート結果

■宮城同友会アンケート結果より

 

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