県北支部10月例会
インターンシップで新しい会社づくりに挑戦!

報告者)  鶴秀工務店梶@社長 鶴谷 勉氏
       鶴秀工務店梶@荒川 知恵子さん (入社1年目)
       宮城県古川工業高等学校建築科 科長 西尾 正人氏

 鶴秀工務店 (県北支部会員) は2年前から古川工業高等学校建築科の生徒 (3年生) らと 『実践型インターンシップ』 に取り組んでいます。 生徒らが作成した設計プランをもとにこれまで二棟の建売住宅を建設、 今年度は施主の要望を聞きながら建築する注文住宅に初挑戦しました。 (2007年2月完成予定) インターシップを通じて企業、 学校、 生徒、 それぞれにどんな変化があったのか。 地域と共に生きる企業と学校の取り組みを紹介します。


鶴秀工務店梶@
社長 鶴谷  勉氏

  自分の子ども (当時高校2年生) が学校の宿題で完成させた図面を見たときに 「これだったら一回建ててみたい」 と思い、 高校でここまでの基礎的な知識を教えてくれることに驚きました。 「高校生に設計コンペをさせてみたらどうか」 と社内会議で話すと社員から 「それはおもしろい」 という意見が出まして、 当時の担任であった西尾先生に相談しました。 お互い子どもたちにそういう経験をさせてみたかったと話が広がっていきました。
  インターンシップを受け入れて勉強になったのは若者の斬新な発想です。 自分たちが設計する時は予算から入って設計しますが、 子どもたちには予算のことは一切言わず、 土地の面積、 家族構成、 年齢層、 などを伝えそこから考えてもらいました。 すると、 自分たちでは到底考えられない斬新な発想が生まれてきます。 自分たちの仕事はどうしたらその発想を現実にできるかを考えていくことでした。 また、 教える立場にありますから中途半端は言えません。 「地鎮祭」 ひとつをとっても改めて神主さんから確認するなど、 改めて勉強するきっかけとなり社内全体に活気が出ました。
  一棟目、 二棟目は建売住宅、 三棟目は子どもたちが実際にお客さんの要望を聞くところからはじめました。 周りから見れば 「高校生が設計して大丈夫なの?」 と聞かれましたが子どもたちの夢をどうにか現実にしたいと思いました。 お客様には時期の問題や予算についても 「合わせます」 と言っていただき結果本当に喜んでいただきました。 子どもたちにとってその体験は計り知れない感動があったのではないかと思います。 もう一つは当然家族、 両親も喜びます。 「うちの娘が設計した」 と話題になり、 地域の方々からも認めてもらい子どもたちにとっても自信になったと思います。
  インターンシップという新しいことに挑戦したことは確かですがこれが主体ということではなく会社の一部として毎年一棟ずつはやっていきたいと考えています。 最終的には黒子に徹して密に学校と連携し 「子どもたちのために」 を大切に継続していきたいと考えています。

古川工業高等学校建築科
科長 西尾 正人氏

  古川工業高等学校に来て6年目になります。 学校も激変の時代となり、 ゆとり教育から学力低下の問題と学校も生き残りをかけてやっています。 教員は企画力を持って子どもたちに力を付ける力が問われています。 学校が閉ざされた世界で社会とのつながりが見えづらい。 学校で学んだことを外の世界で試す、 つかう、 社会に貢献する。 そんなことを私たちの建築科で何か出来ないかと考えていました。 そんな時に鶴谷社長からお話をいただき一緒にやらせてもらったというのが経緯です。 子どもたちを現実の世界で何かをさせるというのは非常に大変なことです。 そこまで持っていく教員のエネルギーは相当なものです。 薪と同じで、 点くまでが大変ですが点いてしまえば子どもたち自身が中心となってがんばります。
  このインターンシップで大切なことは、 実際に子どもたちがお客様と接して、 設計から建物が建つまでに携われる、 形に出来ることです。 学校としても相当なメリットがあります。 紙の上と実際に建てるのでは子どもたちの意気込みが全く違います。 夏休みも返上で取り組みました。 近年では学校も生き残りをかける時代になり、 こうした企業との取り組みが新聞社、 インターネットへの掲載、 就職試験や大学入試などで学校のPRにもなっています。
  東京に人を送るために学校があるのではなく地域の活性化の為に学校があると自負しています。 子どもたちが地域の活性化のための活力として地域に出ていき、 企業だけではなく地域全体がそれを認める。 そんな地域のパイプ役として活性源となるような学校づくりが出来ればと考えています。

鶴秀工務店梶@
荒川知恵子さん

  ※荒川さんは昨年 「実践型インターンシップ」 に参加し、 今年4月鶴秀工務店鰍ノ入社しました。 インターンシップの経験を活かし新卒ながらも専門的な仕事にも取り組み社内の即戦力として働いています。
  以前から建築の仕事に就きたいと考えていましたが、 高校時代は正直迷いがありました。 しかし、 3年生の時に自分が設計した家が実際に建つのを見て今までにない大きな感動を覚えこの仕事に就く決心をしました。 インターンシップを通して社内の雰囲気、 人間関係が見えていたので、 ここで働きたいと思うようになりました。 インターンシップで感じたことは、 授業で教わることと実際に社会に出てすることには大きなギャップがあるということです。 しかし、 その経験のおかげで入社後そのギャップに驚くことはありませんでした。
  現在は上司の補佐として設計を担当しています。 学校で学んだことが現場ではこのように使われているのだという場面がたくさんあり毎日が勉強の日々です。




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