新入社員共育研修

「私の生きがい、 働きがい」


    
(株)ジェー・シー・アイ 庄子香奈さん (入社2年目)


 私は(株)ジェー・シー・アイで、 福祉用具のレンタル、 販売、 住宅改修を行う仕事をしています。 主に、 ケアマネージャーさんからの依頼を受け、 車いすやベッドの必要なお客様に合った福祉用具を選定することなどが主な仕事です。

本当はなりたかった職業

 私がなりたかった職業は教員でした。 採用試験に落ちてしまい、 就職活動を始めたのは大学卒業間近の3月でしたが、 私はジェー・シー・アイの営業職として採用されることになりました。
  営業という仕事に興味を持ったのは、 一人でも多くの人と出会えると思ったからです。 世界人口65億人、 私が90歳まで生きたとしても、 全ての人と出会うことは難しい。 だからこそ出会いは大切で貴重なものだと思います。
  教員になりたい気持ちがすっかり消えたわけではありませんが、 今はジェー・シー・アイの一員として任された仕事をし、 仕事ができるようになりたいと思う気持ちの方が大きいです。

悔しくても、 それは良い体験

 約2ヶ月の社内研修を終え、 一人での外回りが始まり、 少し経った頃。 ある病院に納品する仕事がありました。 私は病院の事務方に日時や都合をあらかじめ確認を入れました。 ところが当日になってみると、 依頼者である先生がお休みで、 納品の連絡を受けていないと言われてしまったのです。
  事務方に連絡を入れていれば伝わるものだと私は思っていました。 実際は、 病院では事務方・医療現場・総務とは別々で、 全てに私から連絡を入れてそれぞれの業務に支障のないように納品しなければならなかったのです。
  また、 ご先方 (ケアマネージャーさんなど) が私に既に注文していたと思っていたり、 勘違いしていたりしていても私の責任になります。 私が知らないでいたこと、 段取りを確認しなかったことが原因となるわけです。 だからといって言い訳することもできません。 理不尽で自分としては納得がいかないと感じることも仕事の中にはあります。 自分が間違っていなかったとしても、 本来達成すべき目的に照らせば、 頭を下げないといけないこともあります。 でもそれらは今では笑い話となっています。

“父の話を聞いてくれてありがとう”

 ある女性のお客様がいらっしゃいました。 その方は入退院を繰り返しておられ、 退院が延びてご家族ががっかりした顔をされるところや心労を見ることもありました。 それを見るのはとても辛かったです。
  そのお客様のところに定期的に訪問していましたが、 今年の2月、 とうとう亡くなってしまいました。 少し時間をおいてお宅を訪問しました。 訪問したとき、 保険会社の方がいらっしゃったのですが、 その方が帰った瞬間、 ご主人が 「庄子さん、 俺は悲しい」 と言って涙を流し始めました。 そのそばで娘さんが 「今まで保険会社の方がいたから我慢していただろうけど、 お父さん、 庄子さんの前ではいっぱい泣いてもいいんじゃない?」。 ご主人も娘さんも私の前でならば、 と言ってくれる中で、 私も思わずもらい泣きしてしまいました。
  しばらく経って、 その娘さんと友人であった当社のパートさんから、 私のところにこんな連絡が入りました。 「娘さんが、 “父の話を聞いてくれてありがとう。 父はとても癒されました”と感謝していた」 と。 私は感動のあまり、 また泣いてしまいました。

先輩の話

 私が所属する介護保険課というセクションに2才上の女性の先輩がいます。 私にとってかけがえのない存在です。 嬉しい時、 悲しい時、 悔しい時、 面白いことがあった時、 いつも私は先輩に報告します。 先ほどの病院での出来事のときも、 納得できずに悔しさが納まらなくて泣きながら先輩に電話をすると、 私の悔しさが納まるまでずっと話を聞いてくれました。 そして面白い話をして笑わせて元気づけてくれました。
  仕事以外のことでも何でも話せて、 先輩とはいつも笑いが絶えません。 私の誕生日に一緒に食事をしたときには、 最後に出てきたデザートにお祝いのロウソクをつけて私を驚かせ、 店員さんと一緒に“ハッピーバースデー”を歌ってくれました。 そんな温かい先輩に支えられ、 私はどんな困難も乗り越えられてこられました。

一年が経って思うこと

 入社して一年があっという間に過ぎました。 一年前の自分とどこが変わったのか、 自分ではあまり分かりません。 しかし、 この一年を通して思うことは、 仕事には悔しい思いをするほど困難なことと、 涙が出るほど感動することや嬉しいことはいつも隣り合わせであるということです。 困難を乗り越えてこそ嬉しいことや感動が待っています。
  希望通りの職業に就けた人にも、 実は他になりたい職業がある人にも共通して言えることは、 自分にとって役に立たないことや無意味なことは何一つないということです。 人の意見を聞いたり、 自分とは反対の意見や自分には関係ないと思われることにも耳を傾けたりすることが、 自分の成長にとても必要なことだと思います。 一年が経ったといえども、 まだまだ私も分からないことばかりです。 しかしこの一年を踏まえ、 成長し変わっていかなければなりません。
  失敗はもちろん怖い。 先輩のすごさを見て、 自分にはできそうもないとプレッシャーを感じることもたくさんあります。 しかし人と比べることよりも、 自分がどうあるべきかが大切だと思います。 私は 「成せば成る、 成さねば成らぬ何ごとも」 という言葉が好きです。 何もしなければ、 何も始まりません。 どんなに焦っても不安に思っても成るようにしかならないと開き直り、 何かをやっていくしかないのです。
  今でも目の前のことで手いっぱいになることが多い私ですが、 今の自分にできることを自分の最大限の力で一生懸命に取り組んでいき、 少しでも先輩たちに近づいていきたいと思います。



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