経営者の生き様から自らの将来像を描こう

栗原版デュアルシステム
「もちっ小屋でん」 と 「一迫商業高校」 の取組み


もちっ小屋でんの社員さんたち
(前列左が狩野社長)
 (有)もちっ小屋でん (狩野千萬男社長;栗原登米地区会員) では、 昨年、 文部科学省指定の 「デュアルシステム」 により、 地元一迫商業高校 (以下 一迫商) の生徒を受け入れました。 デュアル (二重) とは学校と企業を意味し、 学校の学習と企業での実習を相互に行うことで、 在学中に職業の実践的な知識や技能を養うというもの。 現代の社会問題となっているフリーター・早期離職者の増加や、 ニートの出現など深刻化する若者の就労問題に対応すべく、 2004年度から文部科学省が導入しているものです。 全国からモデル地域・学校が選定され、 栗原地域・一迫商は県内で唯一の実施校となりました。
  短期で行われるインターンシップは会社を見学する・経験してみるという要素が強いのですが、 「栗原版デュアルシステム」 では将来有能な職業人として必要な資質を長期の実習を通して身につけさせるという点が違います。
  一迫商の 「栗原版デュアルシステム」 の特徴は、 「長期企業実習」 「空き店舗活用販売実習」 「起業家研究」 の三本柱。 もちっ小屋でんでは 「起業家研究」 面で協力し、 3年生11名が週2回、 3カ月の実習期間に生徒がアイデアを出して新商品を企画し、 店と協力して製造、 販売までを行いました。 生徒たちのもつ自由な発想力と、 もちっ小屋でんの技術力のコラボレーションで生まれたのが 「あきないパンダ (“飽きない”と“商い”を掛け合わせた)」 と 「米ていら (地元の名産“ひとめぼれ”を製粉してつくった米粉カステラ)」。 一迫商の文化祭 「石楠花祭」 では200個が30分で完売するほどの反響があったそうです。
  商品の企画から製造、 パッケージング、 広告、 販売まで経営者的感覚を学べる体験実習に、 生徒たちは試行錯誤を繰り返し、 「@事前に調べ、 自ら考えること」 と 「A仲間とのコミュニケーションの大切さ」 を実感、 「あの時こうすればよかったかも」 という反省点が次へのステップにもつながりました。 「商業高校の学生たちに経営者感覚を養ってもらうためにも、 損益計算 (特に変動費・固定費) の考え方もしっかりと教えました」 と狩野社長。
  担当した一迫商の菅原貴浩先生は、 「もちっ小屋でんさんでの実習に参加した生徒のうち3人がこの春から“自分も菓子づくりの道に進みたい”と、 製菓専門学校や短大に進学することが決まりました。 生徒たちは実習を通じて、 狩野社長の経営者としての生き様に、 自身の将来像を重ねたに違いありません。 実習はまさに夢実現に向けた大きな原動力となっているのです」 と3月の栗原地区運営委員会で実践報告をしました。
  「昨年、 同友会で第16期生として経営指針を創る会を受講中に、 この実習の話が持ちかけられました。 ちょうど“地域密着”を方針に掲げていこうと決意していたところだったので、 一迫商とは以前からかかわりがあったこともあり、 喜んで受けることにしました。 県教育委員会・市教育委員会等関係者の運営委員会及び生徒たちのオリエンテーションで自社の経営理念を語ることで、 地域の若者たちのアイデア・地域の幸を生かした商品ができあがりました。 実習の受入れでは、 社員たちが積極的にかかわってくれましたので、 私たちにとってもいい学びの機会になったんですよ」 と狩野社長はふりかえります。
  新年度からの長期実習受け入れに向けて、 もちっ小屋でんでは、 社内の学習会もスタートさせました。 「人材育成は、 企業・学校・地域の連携で」 ―― まさにその原点がここにあるのです。


もちっ小屋でん 経営理念
1. 私たちは、 ふるさと讃菓を、 地域の幸、 誇りの味で、 提供します。
1. 私たちは、 ほっとする幸せづくりに、 貢献します。
1. 私たちは、 毎日が創意、 培った技で、 未来 (あした) を目指します。


■「これからの“まち”づくりと中小企業家の役割」

 

■「子どもたちが私の先生」

■2005年上半期(1月〜6月)景気の状況に関するアンケート結果

 

■地球環境部会設立によせて
■経営者の生き様から自らの将来像を描こう   ■合同企業説明会 参加企業募集